
30年間営業一筋で、とくにこれと言ったスキルがありません。親の介護をきっかけに働き方を変えなければならず、50代で転職活動を始めたのですがなかなかうまく進まないんです。やはりこの年齢での転職は無理なのでしょうか?
「介護をしながら働く会社員」や「介護離職をした人」にとって、50代での転職は大きな挑戦ともいえます。
50代にもなると、20代や30代のように転職市場が活発とは言い切れません。パパ夫さんのようなお気持ちになるのも理解できます。しかし、転職だけが唯一の選択肢なのでしょうか。
そもそもパパ夫さんのようなケースや介護離職した人は、「仕事と介護の両立」が難しくなってきているので転職を考え始めているはず。つまり介護に時間や神経を取られてしまっているので、50代のきびしい転市場でありながら、「時短」や「テレワーク」「フレックス」などの条件も求めているはずなのです。
そうするとさらに転職活動のハードルが高くなってきます。しかし、ここで正社員への転職という固定観念から一度気持ちをリセットしてみてはいかがでしょうか。正社員の転職という道以外にも、顧問で働くという選択肢を考えてみるのはいかがでしょうか。

本記事では、介護をはじめた50代の会社員が介護をしながら働けるよう、または介護離職している人が無理なく介護をしながら働けるよう、「顧問としての働きかた」を提案やし、その具体的なステップ等について詳しく解説します。50代の私だからこそ、共感できる部分も多いんですよね。
50代の転職の現実(私の体験談)
50代以上のミドル・シニア世代が転職活動を始めるとき、求人の絶対数や企業の採用基準の壁にぶつかりやすいものです。この章では、若年層との違いから生じる転職の難しさと、その背景にある採用市場のリアルな状況を整理します。
ミドル・シニア世代の転職難
50代やそれ以上のミドル・シニア世代が転職を試みる際、若年層と比較してスムーズに進まないことが多いのが現実です。転職サイトや転職エージェントに登録してもそもそも求人数が少ないため、キャリアアドバイザーとの面談自体を断られるケースもあるようです。このような厳しい現実に直面すると、次のステップでどうすべきか悩む人も多いと思われます。
自信がない?「営業一筋、顧問のニーズはあります」
冒頭、営業一筋30年のパパ夫さんが転職活動で苦労しているとのことでした。たしかに正社員への転職市場では50代の方は20代や30代の方のように求人案件数が豊富ではありません。ただし、転職市場でニーズが無いわけではないのであきらめることはありませんし、なによりも顧問という働き方もあります。

意外かもしれませんが、営業一筋でも顧問のニーズもあることを覚えておいてください。週に2~3回、限られた時間での働き方になりますが、複数社の顧問契約を行うことも可能なので、ぜひ営業だからと顧問をあきらめないでください。むしろベンチャーや中小企業からは営業の顧問ニーズがすごく強いんですよ。
顧問の仕事って?
「顧問」という働き方は、従来のフルタイム就業とは異なり、自身の経験やノウハウを必要とする企業に「比較的短時間」で提供する新しい選択肢です。本章で、顧問の具体的な役割や主な業務内容、そして50代から顧問として働くメリットをわかりやすく解説します。
顧問の役割と仕事内容
顧問とは、企業の様々な課題を解決・支援するアドバイザーのような存在です。具体的には、以下のような業務を担当します。
・経営戦略の立案支援
・営業戦略の支援や営業サポート
・人事戦略や採用支援
・マーケティング戦略の策定
・新規事業の立ち上げ支援
50代が顧問として働くメリット
1.柔軟な働き方が可能
フルタイムではなく、パートタイムやプロジェクトベースでの契約が可能です。
2.高い経験値を活かせる
長年培った経験や知識を企業に提供できるため、価値のある存在として評価されます。
3.介護との両立がしやすい
働く時間や場所を調整しやすく、介護とのバランスを取りやすい環境が整っています。
4.収入の安定化
複数の企業と契約することで、安定した収入を得ることが可能です。
5.自己成長と新たな挑戦
新しい業界やプロジェクトに関わることで、自己成長を促進できます。
顧問の属性について
ここで、顧問紹介サービスの「顧問バンク」の登録者データを紹介します。
職歴(上場・非上場比率)
登録者の方々は、非上場会社の出身の方の方がやや多い傾向にあるようです。
居住地
近畿地方 14.9%
東海地方 5.3%
九州地方 4.1%
東北地方 1.7%
中国地方 1.6%
北海道地方 1.5%
信越地方 1.3%
②まだまだ「顧問紹介」サービスの認知度が広まっていない。
そのほか「北陸地方0.5%」「四国地方0.4%」「沖縄地方0.4%」と3エリアが1%未満の登録比率となっています。
年齢
40~49歳 15.6%
50~59歳 28.6%
60~69歳 38.7%
70~79歳 7.8%
80~89歳 0.4%
顧問をしてよかった(成功事例)
実際に50代から顧問転身を果たし、介護と仕事を両立している先輩たちのリアルなストーリーを紹介します。具体的な働き方や契約形態、報酬イメージなどを通じて、自分自身の可能性をイメージしてみてください。
▽Aさん(50代 管理職)のケース
Aさんは長年の営業経験を活かし、複数の中小企業と顧問契約を結びました。週1回の出社とオンラインでのサポートを組み合わせることで、介護と両立しながら安定した収入を得ています。
▽Bさん(51歳 マーケティング担当)のケース
Bさんは外資系ECサイトでのマーケティング経験を活かし、国内ベンチャー企業の顧問として活動。週2回のミーティングと戦略立案を担当し、企業の成長を支援しています。顧問料は月額約55万円を稼ぎ、生活の安定を実現しています。

そのほか私が転職エージェントに勤務していたときに実際に携わった案件についても、ここだけの話しとして紹介しますね。私の場合は、今まで取り扱った案件は圧倒的に営業案件が多かったのですが、ここでは50代の顧問が担当した営業案件以外を紹介します。
地域密着型介護施設の業務改善
①背景
・神奈川県内で3拠点を運営する介護付き有料老人ホームA社。
・入居者満足度が伸び悩み、人手不足と業務効率の低さが課題に。
②顧問介入内容
・介護スタッフへのヒアリングを通じて、日々の業務フローを可視化。
・業務重複箇所の整理・マニュアル化。
・シフト作成ツールの導入サポートと運用ルール策定。
③成果
・スタッフ残業時間を月あたり約30%削減。
・入居者アンケートの「スタッフ対応満足度」が3ヶ月で68%→82%に向上。
・新規採用応募数が前年度比1.5倍に。
地方中小企業の新規事業立ち上げ支援
①背景
・静岡県の製造業B社(売上20億円規模)。
・高齢化による国内売上減少を受け、新たに介護用品のOEM事業を検討。
②顧問介入内容
・市場調査~競合分析を実施。
・製造ラインの改修計画策定と試作品開発のマイルストーン設定。
・地域の福祉施設との連携モデル構築。
③成果
・6ヶ月で試作品を5種類開発、うち2品を量産化。
・初年度OEM受注額1億円を達成。
・社内に新規事業推進部門が立ち上がり、若手社員のキャリアパスも明確化。
Webマーケティング企業の業務マッチングプラットフォーム構築
①背景
・東京都渋谷区のITスタートアップC社。
・介護人材と介護事業者をマッチングするWebサービスをローンチしたが、ユーザー獲得に苦戦。
②顧問介入内容
・KPI(会員登録数・マッチング率)の再定義とダッシュボード設計。
・SEO/コンテンツ戦略の立案、記事テーマと投稿スケジュールを策定。
・広告予算配分の最適化とABテスト運用。
③成果
・月間オーガニック流入数が200件→650件に。
・マッチング率が5%→12%に上昇。
・広告ROI(投資利益率)が1.8倍に改善。
地方自治体の介護人材確保プロジェクト
①背景
・某県庁福祉課。介護職員離職率が20%を超え、人材確保が急務。
②顧問介入内容
・既存職員への定性調査を実施し、不満要因トップ3を抽出。
・ワークライフバランス改善のための「週1フレックス導入」モデルを提案。
・民間企業連携による職員向け子育て・介護支援サービスを企画。
③成果
・離職率が年間20%→14%に低減。
・フレックス制度利用率は開始半年で67%、満足度アンケートは85%以上に。
・地域内外の応募者数が前年比で約1.4倍。
シニア向けオンラインセミナー事業の拡大
①背景
・大阪市のNPO法人D団体。高齢者の社会参加促進を目的にオンライン講座を開設したが、集客と運営体制が非効率。
②顧問介入内容
セミナー講師のトレーニングプログラムを設計し、教材テンプレートを作成。
Zoom運営サポート体制を構築し、運営マニュアルを整備。
地域包括支援センターとの共同プロモーションを実現。
③成果
月間開催回数:2回→6回に増加。
参加者数が1回あたり平均15名→40名に。
セミナー収益が年間120万円→360万円に
それでも正社員、そろそろ正社員(転職エージェントが〇)
ここまで顧問としての働き方について紹介してきましたが、それでも「いやいや、やっぱり顧問は不安定な気もするし、正社員がいいよ」という人もいることでしょう。または、介護離職をしたのですが、親の介護がひと段落してきて、時間的にも余裕が出てきたため、もう一度正社員として働きたい人。そんな人たちがどのように転職活動をしたらよいのかを説明します。

介護をしながらも、やはり正社員で働きたい方。介護離職したけど、介護がひと段落したので正社員として働き始めたい方。こんな方の転職活動には、転職エージェントの利用をおすすめします。
それでは、転職エージェントをおすすめする大事な理由について。わたしのキャリアアドバイザー時代の経験をもとに説明しますね。
①求人案件について、幅広い情報がある。
②キャリアアドバイザーとの転職レッスン
事業の成長フェーズにあわせた顧問ニーズ
企業は「創業期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の各フェーズで異なる課題を抱えます。ここでは、各フェーズごとに求められる顧問の役割や、どのタイミングでどんなスキルや経験が重宝されるのかを具体的にお伝えします。

事業の成長には「創業期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのフェーズに分かれます。そして各々のフェーズにあわせて、様々な顧問ニーズが発生するのです。
創業期
資金調達、市場開拓、コア・コンピタンス構築、人材不足
成長期
差別化、資源マネジメント、グローバル、IPO、経営幹部不足
成熟期
深耕営業、M&A、企業優位性、セグメント戦略
衰退期
イノベーション、新規事業、事業継承、M&A
顧問に登録、今から準備
顧問としての仕事を始めるには、まずはサービスへの登録と情報整理が必要です。本章では、自己分析から紹介サービスの選び方、登録時に押さえるべきポイントまで、実際のステップを順を追ってご案内します。
まずは顧問に登録
まずは顧問に登録してみてください。どのような案件があるかをチェックするためにも、いくつかの顧問サービスに登録しておくことをおすすめします。それでは登録までのステップを説明します。
ステップ1:自己分析とスキルの整理
まずは、自分自身の強みや経験、スキルを整理しましょう。どの分野で顧問として価値を提供できるかを明確にすることが重要です。
ステップ2:顧問紹介サービスの活用
顧問として働くには、専門の紹介サービスを利用するのが効果的です。以下に代表的な顧問紹介サービスを紹介します。
◆HiPro Biz(旧i-common)
▽特徴
・2,700社以上の導入実績
・業界トップクラスの登録者数
▽メリット
・多様な企業とのマッチング
・信頼性の高いサービス提供
◆顧問バンク
▽特徴
・ブランドイメージ調査で1位を獲得
・6,000人以上の登録者
▽メリット
・即戦力となる顧問との出会い
・高いコストパフォーマンス
◆顧問名鑑
▽特徴
・国内最王手のサービス
・21,000名以上の取締役・部長経験者が登録
▽メリット
・豊富な企業とのネットワーク
・幅広い業種への対応
◆マイナビ顧問紹介
▽特徴
・知名度とネットワークによる企業開拓
・全国に案件を保有
▽メリット
・きめ細やかなヒアリングとサポート
・無料で利用可能
ステップ3:登録と面談
希望する顧問紹介サービスに登録し、プロフィールを充実させます。次に、サービス提供者との面談を行い、自分の希望条件や経験を詳細に伝えます。
ステップ4:案件の提案と選定
紹介サービスから適切な案件が提案されます。自分のスキルやライフスタイルに合った案件を選定し、契約を進めます。
ステップ5:契約締結と業務開始
選定した企業と業務委託契約を締結し、顧問としての業務を開始します。定期的なミーティングや報告を通じて、企業の課題解決に貢献します。
顧問として働く際の注意点
顧問契約は業務委託契約が基本で、契約期間や報酬形態、守秘義務など、抑えておきたいポイントがいくつもあります。本章では、トラブルを回避しながら安心して働くための注意事項をまとめました。
契約期間と報酬
顧問として働く場合、契約期間や報酬は案件ごとに異なります。みなさんと企業の契約は業務委託契約となります。事例で言いますと、顧問として働くみなさんは「個人事業主」として独立されて働いている人がほとんどです。また、契約期間は最低6ヶ月以上が一般的ですが、企業や案件によっては短期契約も可能です。ただし契約期間については、企業や案件によって異なりますので必ず6か月以上とは限りません。報酬は月額制や成果報酬制など、多様な形態がありますので、事前にしっかりと確認しましょう。
また、顧問契約をする場合、みなさんが直接企業と契約をする場合と、顧問紹介サービスを通して契約する場合があります。顧問紹介サービスをご利用するときは、①みなさんは顧問紹介サービスと業務委託契約を結び、②求人企業も顧問紹介サービスと業務委託契約を結びます。そして、みなさんへの顧問料のお支払いは顧問紹介サービスから振り込まれる仕組みになっています。
複数社との契約
複数の企業と契約することで、収入の安定化が図れます。ただし、同業種での複数契約は避けるのが一般的です。異なる業種での契約を心掛けることで、効率的に働くことができます。
プライバシーとコンプライアンス
顧問として働く際には、企業の機密情報を扱うことが多いため、プライバシー保護やコンプライアンスを遵守することが重要です。契約前に守秘義務について確認し、適切な対応を心掛けましょう。
まとめ
50代で顧問として働くことは、介護と仕事を両立させるための有効な選択肢です。自分の経験やスキルを活かしながら、柔軟な働き方が可能な顧問としてのキャリアを築くことで、安定した収入と充実した生活を実現することができます。
顧問紹介サービスを活用し、自分に合った案件を見つけることで、スムーズなキャリア再構築が可能です。ぜひ、この記事を参考にして、あなたに最適な顧問としての働き方を見つけてください。