みなさんの親が介護施設(老人ホーム)へ入居を検討した際、毎月かかる入居費用に頭を悩ませるかもしれません。
そして、親の介護費用のサポートをする人にとっては、毎月の負担は家計に大きな影響を与えることでしょう。
本記事では費用を抑えながらも安心できる介護施設(老人ホーム)の選び方と活用ポイントをわかりやすく紹介します。

親の介護費用をサポートする方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1. 10万円以下の老人ホームをさがしたい
親が介護に直面するご家族の年代は50代が多いそうです。
みなさんが50代の会社員として親の介護費用をサポートする場合、最大の壁となるのが毎月の入居費用負担です。
お金がないのでなるべく安い月額費用、出来れば親の年金だけで賄える金額「10万円以下」で抑えたいというニーズが強いようです。預貯金はいざというときのために手を付けずにいたいというお気持ちも理解できます。
しかし特に都市部では、老人ホームの平均月額費用が15万~30万円と高額になりやすく、親の年金だけでは月額費用を賄えない場合があります。預貯金が豊富にあるご家庭ならよいのですが、現実はそのようなケースばかりではありません。
また、施設に入居しないで「通所サービス」や「訪問サービス」を利用した在宅介護が可能な場合は月額10万円以内でも可能ですが、在宅介護が難しくなりいよいよ介護施設(老人ホーム)の入居をしなければならないケースも多く見かけます。
そして、介護施設(老人ホーム)の入居費用は家賃や管理費だけでなく、食費、介護サービス利用料などもかかりますので、総額で10万円以下に抑えたいとなると、かなりの工夫と情報収集が必要です。
2. 月額費用の10万円以下の現実
まずは、全国の老人ホーム費用相場を確認し、「老人ホームの費用を10万円以下で抑える」ことが現実的なのかを把握しましょう。
1. 全国の老人ホーム平均費用データ
公益財団法人や専門調査会社の最新データによると、介護施設(老人ホーム)の平均相場は以下の通りです。
・軽費老人ホーム(ケアハウス):平均月額12万~18万円
・特別養護老人ホーム(特養):平均月額15万~22万円
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):平均月額13万~20万円
・有料老人ホーム(介護付):平均月額18万~25万円
これらの相場を見てみると、月額10万円以下は相当にコストを抑えたプランであることが分かります。
2. 月10万円以下で入居できる施設の特徴
上記の平均相場で月額10万円をあきらめることはありません。以下のような条件なら介護施設(老人ホーム)を探すことも可能です。
・地方立地が中心:都市部よりも家賃・土地代が安いため、総額で10万円以下を実現しやすい
・部屋タイプがコンパクト:個室でも20㎡前後の小規模な居室が多い
・サービス範囲の限定:食事提供のみ、介護サービスは別料金方式など
・共同生活型が多い:地域密着型グループホームや軽費老人ホームA型などを活用
10万円以下の施設タイプ別比較
それではお金がない場合の4タイプの「10万円以下の介護施設(老人ホーム)」プランを紹介します。
1. 軽費老人ホーム(ケアハウス)
・ケアハウスは公的補助が手厚く、入居金なし・月額10万円以下のプランも豊富。
・ただし、介護度が重くなると別途、訪問介護などのサービス利用料がかかります。
2. 特別養護老人ホーム(特養)の住宅型
・特養は入所優先度が高い要介護3以上向けと対象が限られます。
・自己負担限度額や地方自治体の補助により 「月額費用10万円以下」を実現できるケースがありますが、申し込みから数年待ちとなる場合もあります。
3. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・サ高住は民間主体が多く食費込みで10万円前後の低価格プランを提供している場合があります。
・看護師常駐や緊急時対応などのオプションを外すことでコストを抑えるプランが想定されます。
4. グループホーム・有料老人ホームの格安プラン
・グループホームは少人数制でアットホームな雰囲気が魅力。
・地域のNPO法人運営などで月額8万~10万円のプランが見つかります。 一方、有料老人ホームの格安プランは「要支援1~2向け」「ショートステイ寄り」の仕様が多いです。
ご家族がチェックすべき選定ポイント
あなたが親の介護を見守るならば、介護施設(老人ホーム)選びでは以下のポイントが重要です。
1. 介護度別の費用シミュレーション
・要介護度によって介護保険サービスの自己負担割合が変わります。たとえば要支援2の場合は自己負担1割、要介護3の場合は1~2割負担となり、月の介護サービス費用が数千円~数万円単位で異なってきます。
2. 立地・通勤との兼ね合い
・最寄駅からの距離:訪問や面会の負担軽減
・勤務先からのアクセス:急な呼び出し時の対応時間
・周辺環境:買い物・医療機関の有無
3. 食事・医療・レクリエーションの充実度
・低価格プランでは食事回数やメニュー、リクリエーション回数などで差があります。
・実際の見学時に提供例をチェックし、親が楽しめる活動が用意されているか確認しましょう。
4. 契約形態(利用権方式 vs 資産方式)の違い
・入居一時金や権利金が不要な「利用権方式」は初期費用が抑えられますが、 退去時に返金がない場合も。
・資産方式(返戻金制度)との比較検討が必要です。
公的支援・補助金を活用してさらに安く入居する方法
「10万円以下の介護施設(老人ホーム)」プランを本気で狙うなら、公的支援のフル活用が必須です。
1. 介護保険利用による自己負担割合
・介護保険を利用すると、訪問介護・デイサービスなどの費用が原則1~3割負担に。
・月額10万円以下の家賃+管理費+食費の合計に、数千~数万円の介護サービス費用を加えても抑えられるケースがあります。
2. 市区町村の独自助成・生活支援補助
・自治体によっては高齢者向け家賃補助制度を実施
・民生委員や地域包括支援センター経由で福祉用具貸与料の減免
・地元NPO法人や社会福祉協議会の独自助成金
3. 高齢者向け優遇ローン・給付金の活用例
・住宅ローン減税や、高齢者向けリフォーム・バリアフリー化の補助金を活用し、 初期費用や入居一時金を抑える方法も検討しましょう。
実際に10万円以下で入居したケーススタディ
具体的な事例をもとに、「10万円以下の介護施設(老人ホーム)」プランの実現方法をイメージしましょう。
ケース① 要介護1の母を入居させたAさんの場合
【施設】地方都市の軽費老人ホームA型
【費用】家賃+管理費+食費=月額9万5,000円
【ポイント】介護保険1割負担で訪問介護を併用し、月額+約2万円に抑制。
ケース② 夫婦同居プランを選んだBさんの場合
【施設】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)夫婦部屋プラン
【費用】月額10万円(2人分で20万円を折半)
【ポイント】夫婦で入居することで、1人あたり10万円以下を実現。
ケース③ 地方の格安ホームを選択したCさんの場合
【施設】地域密着型グループホーム
【費用】家賃+管理費+食費+介護サービス計=月額8万8,000円
【ポイント】自治体の家賃補助を受け、さらに社会福祉協議会の助成金で食費を軽減。
ケース④ 生活保護を受給しながら入居したDさんの場合
【施設】特別養護老人ホーム住宅型
【費用】生活保護受給のため家賃・管理費・食費ともに1割負担(数千円)
【ポイント】役所との事前協議で「老人ホーム 10万円以下」どころか実質自己負担0円~数千円を実現。手続きの流れと地域包括支援センターの連携が鍵。
入居前の最終チェックリスト
安いからといってすぐにその介護施設(老人ホーム)に飛びつくのでは無くて、しっかりと最終チェックをするようにしましょう。
・見学時の確認ポイント:実際の居室、共有スペース、食事のサンプル
・契約書の重要項目:追加費用、退去時の精算方法、免責事項
・緊急時対応:夜間・休日の連絡体制、医療提携先の有無
・自治体補助の可否:自治体窓口への申請書類と提出期限
まとめ:10万円以下の老人ホームを選ぶには
本記事では、「老人ホームに10万円以下で入居したい」を実現するための費用相場、施設タイプ、選定ポイント、公的支援、実例までを網羅的に解説しました。
働きながら親の介護を安心して任せられる施設を選ぶには、事前準備と情報収集が不可欠です。 まずは気になる施設の資料請求や見学予約を行い、各自治体の窓口で補助制度を確認してみましょう。
50代会社員のあなたが「仕事も介護も諦めない」生活を実現する一助となれば幸いです。
関連リンク
▽介護サービスについて理解する
▽介護について相談したい
▽仕事と介護の両立について知りたい