転職活動を考え始めたとき、「転職サイトは見たけれど、転職活動がちゃんとうまく進むか自信がないです。」と不安になってしまう人も多いはず。ひとりで転職サイトを眺めていただけでは気づくことが出来ないことってたくさんあるのです。
転職エージェントという言葉を聞いたことがあると思います。転職エージェントのサービスを知らない人にとっては想像しづらい、信じられないほどのサポートがあるのです。
たとえば、非公開求人の提案、面接対策、年収交渉、退職交渉まで。まさか、ここまでしてくれるとは、と転職エージェントのサービスに驚くことでしょう。
転職エージェントはあなたの“秘密兵器”としてあらゆるフェーズをサポートしてくれるはずです。

ここで元大手転職エージェントのキャリアアドバイザーだった私が、自らの経験をもとにみなさんが知らない「転職エージェントって何をしてくれるの?」といった疑問を解消していきます。
転職エージェントは「何をしてくれるか」を整理
それではまずは、転職活動を始めたけどまだ転職エージェントをご利用していなかったり、転職エージェントのサービス内容についてよく分からないといった人に「転職エージェントが何をしてくれるのか?」をまとめます。

これを読めば、転職エージェントが単なる「求人紹介」だけをするものでは無いことが分かるはずですし、上手に有効活用した方が転職活動がスムーズに進むこともご理解頂けることでしょう。
非公開求人の提案
一般には公開されない求人企業の重要ポジションや即戦力案件を紹介。競合が少ないため、採用確率が高まることもあります。もしみなさんにこの非公開求人が紹介されたとしたならば、それはみなさんにその会社で活躍できる可能性があると思い推薦されたとも考えられます。
応募書類の添削
職務経歴書や履歴書の構成、表現、数字の見せ方まで細かくチェック。転職エージェントでは、このような履歴書や職務経歴書を何千通、何万通とみてきました。そのノウハウを活かして、みなさんの書類をチェックします。

このようなサポートにより、まずはみなさんの書類応募の通過率が大幅に変わってくるはずです。またこの添削はキャリアアドバイザーによっては、求人企業ごとに最適化してくれることもあります。このような対応が出来るキャリアアドバイザーは、いわゆる優秀なキャリアアドバイザーと言えます。
面接日程の調整
企業との交渉役となり、あなたの都合に合わせて面接の候補日を調整。最短で「翌日面接」も可能なケースあります。みなさんからは都合の良い時間をキャリアアドバイザーに伝えるだけです。求人企業から候補日をいくつか提案され、それに対してみなさんの都合の良い日を選ぶだけですので手間はかかりません。
面接対策(模擬面接)
「面接は何を話したらよいか分からないので自信がありません。」じつはこのような人がすごく多いのです。そこでぜひご利用して頂きたいのがキャリアアドバイザーの面接対策です。みなさんが希望すれば、キャリアアドバイザーと本番の面接を想定した模擬面接が行われます。ぜひこちらのサービスを利用して、面接に自信を持って臨んでください。

キャリアアドバイザーはみなさんがこれから面接をする求人企業の面接での想定質問や面接官などを知っているケースが多くあります。そのため想定質問リストの作成から模擬面接を実施し、みなさんの回答に対するキャリアドバイザーが感じたフィードバックまでを行ってくれます。通常面接対策は1回が多いのですが、みなさんが希望すれば回数無制限で練習できるエージェントもありますので、面接に自信がない人は確認してみると良いでしょう。
年収交渉の代行
「年収交渉?」転職エージェントのサービスを利用したことのない人にとっては、とても違和感があるものではないでしょうか。「年収って会社のルールで決まっているものですよね?」、そのように思う方がほとんどだと思いますし、もちろん年収を上げてほしいといっても、それぞれの会社のルールで変更できないことも多くあります。ただし、じつはこの年収交渉をできる会社って多いのです。たとえば多いのはIT系のエンジニアや管理職などの場合で、内々定を出した後にみなさんの希望年収を確認し合意が取れた後で、最終的な内定を出すケースが多数あります。

このような年収交渉もみなさん自身が求人企業と行うわけではなく、転職エージェントが交渉をしてくれますので、みなさんは希望の年収をキャリアアドバイザーに伝えるだけで良いのです。みなさんが求人企業へ直接交渉するわけではないので、気が楽ですよね。
退職交渉のサポート
いざ内定が出た後は、現職の方の場合は今の会社に退職の意向を伝えなければなりません。お世話になったと思える上司や同僚、先輩のことを思うと、気が引けるかもしれません。通常、退職の報告は直接の上司にするケースが多いのですが、なかなか話しを切り出しづらいという人も多いようです。そのお気持ちはすごく理解できるのですが、今までお世話になった会社、そしてこれから入社する会社の双方に迷惑をかけないためにも、スムーズに上司に退職の報告を行い、これから入社する会社の入社日を遅らせたりするような心象の悪いことは避けるようにしましょう。

キャリアアドバイザーに相談すれば、円満退社のため、退職意向の伝え方、話すタイミング、メールを利用する場合にはその文例などを提供してくれるはずです。
入社後のフォロー
入社後約3か月が経過すると、キャリアアドバイザーとの入社後面談が実施されるケースがあります。これは必ず行われるものではありませんが、実施されているケースが多いと思われます。この入社後のフォロー面談は、みなさんが入社前に聞いていた条件や会社の雰囲気と相違がないか、前向きに働ける環境が整っているかなどを確認します。もし入社前に聞いていた条件と違う場合などは、キャリアアドバイザーが企業の人事に確認をします。

じつはこの入社後フォロー。みなさんとの面談を通して、求人企業の実態調査もしているのです。入社前に言っていたことに嘘がないか、たとえば会社の雰囲気や就労条件などに嘘がないかをチェックしているのです。この入社後フォローを繰り返すことで、さまざまな求人企業の信用度をチェックし、そのデータをもとにみなさんに自信をもって求人を紹介しているのです。
転職サイトやハローワークは「自分で検索→自分で応募」が中心ですが、転職エージェントをご利用すれば「提案×交渉×伴走」で、みなさんの転職活動を全面的にサポートしてくれるのです。特に初めての転職や、離職後にブランクがある場合などは、この転職エージェントの手厚いサポートが受けられるのは大きなメリットになるはずです。
面接対策のポイント(転職エージェントの面接対策)
面接は、みなさんと企業の担当者との初対面です。第一印象はとても重要です。しかし「面接は自信がないんです」「緊張して本来の実力が出せなかった」と後悔しないためにも、事前準備が欠かせません。そのためにもキャリアアドバイザーとの面接対策はとても重要になりますし、面接に自信がないという人はぜひ利用してほしいサービスです。
模擬面接の進め方
模擬面接では実際の面接を想定して、入室から退室までの求職者の言動をチェックします。質問項目については、あらかじめキャリアアドバイザーがその求人企業が聞きそうな設問を用意して実施します。これは今までその求人企業がどのようなことを面接で質問してきたかを、転職エージェントの企業担当者が求人企業の人事にヒアリングしているので想定が出来るのです。

私がキャリアアドバイザーをしていた時は、求人企業の採用担当者と面接で求職者のどのような点を見ているのかを確認したこともあります。また面接対策では、1対1の模擬面接だけでなく、キャリアアドバイザー2名との模擬面接をすることで複数人と面接しても緊張しないように設定をしたこともあります。
逆質問の準備
面接で重要なのが「最後に何か質問はありますか?」と聞かれたときの反応です。この質問で求人企業はみなさんの「志望度」や「会社の理解度」を確認したいのです。つまり求人企業はみなさんからの質問を求めています。それにも関わらず、「とくにありません」「充分御社のことは理解できました」といった回答では、マイナスにはなりませんが、プラスにはなりません。また、ありきたりの質問も面接官にあまり良い印象として残りません。この場合もマイナスにはなりませんが、プラスにはなりません。そこでキャリアアドバイザーと、より具体的な逆質問について相談するとよいでしょう。

「この企業の場合、〇〇について質問するとよいですよ」といった具体的なアドバイスをしてもらうと良いです。ここで具体的な逆質問をすることでみなさんの熱意と会社理解をアピールでき、印象が変わることは間違いありません。
表情・姿勢・声量のチェック
あと、とても重要なのが「表情」「姿勢」「声量」のチェックをしてもらうことです。これはさすがに自分自身では気づけないことであり、第三者にチェックしてもらうべきことなのです。自分では気づかなかった、笑顔が少ない、声が小さいといったことを知ることができます。
推薦状の役割と効果(転職エージェントの推薦状)
転職エージェントが添付する「推薦状」。これも転職エージェントのサービスをご利用したことない方はご存じないことでしょう。みなさんが求人企業に応募をする際、通常は「履歴書」と「職務経歴書」を送るはず。しかし転職エージェントを経由して応募する場合は、「履歴書」と「職務経歴書」にさらに「推薦状」が添付されます。この推薦状とは、転職エージェントが企業に、あなたの“人となり”や“(職務経歴書からは読み取れない)実績”をまとめたドキュメントになります。あなたのキャラクターがその求人企業の風土にマッチするかどうかの後押しにもなっています。

この推薦状によって、書類通過率が大きく変わり、面接の際にもこの推薦状の中身について聞かれる事があります。この推薦状には、キャリアアドバイザーが面談を通して感じたみなさんの人柄や、面接では話しになりづらい私的なエピソード、つまり人物評価の補足について書かれています。
面接後のフォローアップ (転職エージェントの面接後プッシュ)
面接が終わったら、それで終わりではありません。適切なフォローアップをするために、翌日にはキャリアアドバイザーが求人企業にメールをします。そのメールでみなさんの求人企業への印象や志望度などについてフィードバックをします。面接で十分なアピールが出来なかった場合、緊張してうまく話せなかった場合など、このメールでフォローをしてくれるのです。
送付タイミング
面接当日の夕方~翌日午前中。転職エージェントとしては、遅くとも48時間以内に送ることを勧めています。そのため面接後にキャリアアドバイザーがみなさんにインタビューをすると思います。ご多忙かもしれませんが、ぜひこのインタビューには対応するようにしてください。
メール文例
件名:本日の〇〇さまとの面接の御礼 ○○株式会社 △△部 □□様 本日は貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。 求職者の〇〇さまとの面接はいかがでしたでしょうか。 〇〇さまは面接を通じて、御社の取り組みに深く共感し、ぜひ貴社の一員として貢献したいと強く感じたようです。 また、〇〇さまがおっしゃるには、緊張をして〇〇についての話しが出来なかったとも言っておられました。 (続く)か
合格率を高めるコツ(転職エージェントの合格率)
転職エージェント利用者の平均書類通過率は約40%、面接通過率は約30%と言われています。高いと思われますか、それとも低いと思われますか。結論を申しますと、この数字は一般的に言って高いと想定されます。それではなぜ転職エージェントを経由すると書類通過率や面接通過率が高くなるのでしょうか。それは転職エージェントがみなさんの書類が通過できる、面接が通過できる可能性が高い求人案件を紹介する傾向にあるからです。初回面談でみなさんの今までのキャリアをヒアリングし、それをもとに「この会社なら希望に沿っているし、合格の可能性がある」といった求人案件を紹介しているのです。
データに基づく企業選定
過去の何千件、何万件にも及ぶ転職支援実績を活用して、みなさんの希望に沿った求人案件を紹介します。
応募社数の最適化
いたずらに応募数を増やすのではなく、求人の「質×量」を調整し、みなさんが希望の求人に集中できるよう最適化してくれます。無闇に複数の求人企業に応募するよりも結果が伴います。
フィードバックの活用
書類応募の選考落ちや面接の選考落ちといった、転職活動がうまくいかなったデータも多数保有しています。そしてこれらの不合格の分析をすることで、求人企業のニーズと求職者の経験から合格率を高めようとしているのです。
年収交渉サポートの実際(転職エージェントの年収交渉)
年収交渉。こんなことできるの?とおもわれることでしょう。年収交渉はご自身で転職活動をする場合、なかなかそのような事を切り出すキッカケもないことでしょう。しかし転職エージェントを利用すれば、年収交渉が可能です。
求人企業がみなさんのことを気に入ってぜひ入社をして欲しいと思っても、最終的に他社へ流れていくことはよくあることです。そして他社へ入社してしまった理由の多くは年収が原因なのです。そしてこのことは、求人企業も十分に理解しています。つまり、内定を出して入社をしてほしい求職者に対しては、企業としては求職者の本音の希望年収を知りたいのです。そこで転職エージェントが求職者の本音の希望年収や、他社で内定が出ている場合はその年収などをヒアリングして、希望年収の交渉をするのです。
内定後の退職交渉支援(転職エージェントの退職交渉)
さてようやく内定が出たとしてもまだやることがあります。円満退社のため、現職企業への退職意向の報告です。今までお世話になった分、今の会社には誠意をもって、引継ぎ事項等の退職準備をするべきです。このようなことも転職エージェントがサポートをしてくれます。
退職意思表明のタイミング
内定承諾後、1~2週間以内が上司への報告目安です。余裕を持った引き継ぎ準備期間を考慮して退職日を決めるようにしましょう。法律上は退職希望日の2週間前までに会社に伝えれば良いとされていますが、実際には1ヶ月から2ヶ月程度前に伝えるのが一般的ですし、みなさんの置かれている環境を考えて妥当な日程を会社に提示するべきです。
よくある質問
Q. 転職エージェントは本当に無料?
A. はい。企業が成功報酬を支払う仕組みなので、求職者の費用負担はゼロです。
Q. サポート期間に制限はある?
A. 多くは6ヶ月くらいまでが目安とされています。半年経っても進捗が出ない場合は、その転職エージェントと何かしらの相性(求人やアドバイザー)がよくないのかもしれません。他の転職エージェントに登録し直すことも検討してください。
Q. 複数社登録はOK?
A. はい。併用することで求人の幅が広がり、より高いマッチング率を狙えます。しかし2社程度で進めるのが良いと思われます。
Q. キャリアアドバイザの変更は可能?
A. 担当者との相性が合わない場合、担当チェンジや他社への乗り換えも遠慮なく相談しましょう。なかなか言い出しづらい事かもしれませんが、転職活動を成功させることが目的ですので、思っていることをしっかりと主張するようにしましょう。
まとめ
①【非公開求人活用】豊富な案件を逃さないようにしましょう
②【模擬面接】面接対策でしっかりと準備をして、本番には自信をもって臨みましょう
③【推薦状】職務経歴書ではわからない部分についてアピールしてもらいましょう
④【交渉力】年収交渉・退職交渉をエージェント連携で最適化しましょう
ここまでご紹介した転職エージェントのサービスをフル活用すれば、転職成功への道筋がぐっと近づくことでしょう。転職エージェントと二人三脚で、より自分らしいキャリアを実現しましょう!
【著者情報】くまさん(介護と転職のアドバイザー)
年齢 | 在籍期間 | 在籍企業 |
---|---|---|
22~34歳 | 10年 | 金融機関勤務(大手銀行、米系証券会社) |
35~45歳 | 10年 | 大手転職エージェント |
45~50歳 | 5年 | 介護系ベンチャー企業 |
50歳~ | 5年以上 | 独立して介護と仕事のコンサルタント |
年 | 主な出来事 | |
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1970年 | 0歳 | 神奈川県横浜市に生まれる。 |
1992年 | 22歳 | 大学卒業後、みずほ銀行に入行(法人営業担当)。 |
2000年 | 30歳 | 米系証券会社に転職し、主に債券を扱うトレーダーを行う。 |
2005年 | 35歳 | 大手転職エージェントにキャリアチェンジ(ミドル層の転職支援)。広告やプロモーション全部門の責任者となる。またキャリアアドバイザーとしての経験もあり、求職者のお気持ちに寄り添うカウンセリングを得意とした。 |
2015年 | 45歳 | IPO直前の介護ベンチャー企業に転職し、介護事業者の収益改善コンサルティングに従事。特養、訪問介護、通所介護、または有料老人ホームの経営や人事コンサルタント業務を行う。また、一般ユーザー向けには介護の相談窓口サービスを提供し、とくに仕事と介護の両立に悩む会社員をサポートしてきた。 |
2020年 | 50歳 | 独立し「Dr.介護と仕事のアドバイザー」として企業制度設計や講演、情報発信を開始。その流れで本ブログを執筆中。現在に至る。 |
No. | 得意分野 |
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1 | 介護と仕事の両立支援(一般ユーザー向け) |
2 | ミドル・シニア層(30代~50代)のキャリア再構築・転職支援(一般ユーザー向け) |
3 | 介護人材の採用・定着(介護事業者向け) |
4 | 介護事業者の経営支援(介護事業者向け) |
5 | ダイバーシティ経営(介護離職防止)(介護事業者向け) |
6 | 施設(老人ホーム)選びのアドバイス(一般ユーザー向け) |
7 | 50代以降のキャリア再デザイン(一般ユーザー向け) |