
親の介護は家族である自分が背負わないと思うと息詰ってしまい、いろいろなことがうまくいかなくなることがあります。介護はひとりで抱えるのではなく、第三者のサポートが当たり前と思ってください。
1.実例からみるデイサービスの利用
事例:鈴木さん(仮名)のケース
鈴木さん(38歳)は、東京の広告代理店に勤務する営業職です。近所に暮らす母親が軽度の認知症と診断され、いよいよひとりでの生活に不安を感じ始めました。しかしフルタイムで働く鈴木さんは、親の介護に時間が取れません。
そこで鈴木さんは、地元のデイサービス(通所介護)を利用することにしました。デイサービスを利用することで、母親は日中を施設で過ごし、専門のスタッフによるケアを受けることができました。これにより、鈴木さんは日中は安心して仕事に集中できるようになりました。
さらに、デイサービスではリハビリやレクリエーション活動が充実しており、母親の身体的・精神的な健康維持にもなりました。定期的な健康チェックや栄養バランスの取れた食事提供もあり、家族としての負担も軽減されました。
鈴木さん自身も、介護に関する知識を深めるためのセミナーやサポートグループに参加する機会が提供され、同じ境遇のご家族との交流により励まされたと言っております。
このように、デイサービスの利用は、鈴木さんにとって仕事と介護の両立を支える大きな助けとなりました。デイサービスを活用することで、経済的な負担を抑えつつ、質の高い介護を提供してもらえた点が大きな魅力と感じたようです。

この鈴木さんの事例も、ポイントは「第三者の(プロの)サポート」を受けているという点です。あと覚えておいて欲しいのは「介護をする」ということは素人ではなかなかできることではありません。介護のサポート、そこにはまさしくプロが存在し、みなさんもそのサポートを受けるべきなのです。
2. デイサービスとは何?

それでは鈴木さんの事例にあったデイサービスについて学んでいきましょう。介護負担を減らすには、たくさんある介護サービスのうち、メインとなるサービスを理解することです。このデイサービスはそのメインサービスのひとつです。
2-1. 定義と目的
デイサービス(通所介護)は、介護保険制度の下で「要支援1~要介護5」の認定を受けた高齢者が、日中に介護施設へ通い、食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けるサービスです。
①在宅生活の継続支援:自宅で暮らしながら必要なケアを受けることで、住み慣れた環境での暮らしを長く続けられる
②家族(介護者)の負担軽減:日中の介護を担うことで、仕事や休息時間を確保できる
③社会的交流・日常リズム維持:他の利用者やスタッフと交流し、外出の機会を設ける
・原則として65歳以上の高齢者。
②介護認定
・要介護1~5の認定を受けていること。要支援1~2の場合は、「日常生活支援総合事業」に含まれる施設を利用することで、デイサービスを利用可能です。
③地域要件
・施設と同一市区町村に住民票があること。
④自立度
・日常生活において一定の自立ができること。重度の認知症や寝たきりの方は入居が難しい場合があります。
1. 訪問介護:スタッフが自宅を訪問し介護を行う
2. 訪問看護:看護師が医療的ケアを提供
3. デイサービス(通所介護):介護施設まで通所し、まとまった時間のケアを一度に受ける。デイサービスは「通所介護」ならではの集団レクリエーションや機能訓練プログラム、栄養バランスを考えた食事提供が特徴です。

デイサービスをおすすめしたい人は「日中の介護負担を軽減したいご家族」「自宅での生活を続けたいご高齢者」「リハビリや運動習慣を自然に取り入れたいご高齢者」「社会的交流や気分転換が必要なご高齢者」になります。
3. 主なサービス内容と設備など
自宅と介護施設間の送迎(車いす対応マイクロバスや介護車両) 乗降時の介助スタッフ配置
・一般浴槽、機械浴槽、個浴室の選択
・入浴前後の健康チェック(血圧・脈拍など)
・栄養士監修の昼食、おやつを提供
・噛む力、飲み込みに配慮した調理形態(刻み食・ミキサー食)あり
・理学療法士・作業療法士による個別・集団訓練
・筋力アップ、関節可動域訓練、歩行訓練など
・医療機関との連携、ケアマネジャーへの報告
①生活相談員
・サービス提供時間に応じて専従で1名以上を配置。
②看護職員
・単位ごとに専従で1名以上を配置。看護師が常駐している施設もあります。
③介護職員
・利用者数に応じて適切な人数を配置。通常、利用者3人につき介護職員1名以上が必要です。
④機能訓練指導員
・1名以上を配置し、リハビリテーションを担当します。
3-8. 設置基準
①食堂・リビングスペース
・利用者が快適に過ごせる共用スペースを確保。
②機能訓練室・相談室
・専門的な訓練や相談が行える設備を整備。
③安全対策
・バリアフリー設計や緊急時の避難経路の確保など、安全性を重視した設備を備えています。

ご家族にとって、デイサービスで一番ありがたく感じるのは“送迎サービス”のようですね。自宅の玄関まで送り迎えしてくれるので、親御さんを連れて出かける手間や不安がまるごと解消。送迎中もスタッフが同乗して体調の変化をチェックしてくれるから、遠くから見守るご家族の安心感が段違いです。これがあるだけで、仕事や家事の合間に『今日は大丈夫かな?』と気をもむストレスがグッと減るそうです
4. 費用の仕組み
・食費、送迎費は原則自己負担(多くは定額設定)
費用項目 | 負担割合 |
基本サービス費 | 要支援1・2は1割、要介護1~5は1~3割 |
食費 | 実費(約500~700円/食) |
送迎費 | 地域により無料〜300円/回程度 |
・低所得者向け減免制度により、自己負担上限額が引き下げ
・住民税非課税世帯は食費、送迎費も減免対象となる場合あり
・自治体独自で設定する通所介護利用料助成金
・生活保護受給世帯は原則自己負担ゼロ

サービス内容はわかった、費用もなんとなく理解した、でももしそのデイサービスと相性があわなかったら、と思う方もいるでしょう。実際、人間関係が嫌になって通わなくなる人もいます。でも安心してください、もしそこが気に入らない場合は、別のデイサービスへ変更も可能です。
5. こんな人におすすめ
2. 社会的交流やレクリエーションを楽しみたい高齢者
3. 自宅での入浴・食事に不安がある方
4. リハビリを継続して身体機能の維持向上を図りたい方
1. 外出自体が難しい重度の要介護者(送迎不可、医療ケア重視)
2. 24時間体制のケアが必要な方**(夜間ケア含む)
6. 利用の流れと申し込み方法
1.地域包括支援センターまたは担当ケアマネジャーへ相談
2. 気になるデイサービス施設へ電話やWebで見学予約
3. 見学時に設備、プログラム、料金の確認
ケアマネジャーが利用者の状況を踏まえケアプランを作成
プランに「通所介護」の利用回数・内容を反映
施設との利用契約書の締結
必要書類:介護保険証、身分証、緊急連絡先、預金通帳コピーなど
迎えの時間に自宅で待機
施設到着後、健康チェック→プログラム開始
夕方に自宅まで送迎
7. デイサービスだけでは足りない場合の次の一手

介護度が上がり、デイサービスでの日中支援だけでは不安なときは、以下のような施設への入居を検討するべきでしょう。施設へ入ることを嫌がるご高齢者が多いのですが、やはり介護のプロがそばにいてくれた方が安心して生活ができるはずですので、私は入居をおすすめします。
・自立支援を重視したバリアフリー賃貸住宅
・緊急通報システム、生活相談サービス付き
・スタッフ常駐、共同調理やレクリエーション
・要介護3以上が対象の公的施設
・24時間介護・医療連携体制
・民運営の手厚い介護・医療サポート
・居室タイプやオプションサービスが豊富
・費用総額シミュレーション
・見学時チェックリスト:人員体制、部屋環境、食事メニュー、医療連携
・入居条件、契約形態の確認
8. よくある質問(FAQ)
A. ケアプラン作成と契約手続きが整えば、最短3~5営業日で開始可能。緊急対応プランのある施設もあり。
A. 「短時間型通所リハビリテーション(デイケア)」として、医療保険適用でリハビリ特化利用が可能。
A. 基本的に5km以内程度が多い。エリア外は自家用車送迎か自費負担の場合あり。
A. マスク着用、検温、消毒を徹底。感染が拡大した場合はサービス内容の一部制限が行われる。
9. まとめ

デイサービスは、在宅介護を支える“日中のセーフティネットして非常に有効です。ご自宅で暮らし続けたいご高齢者も多いので、要支援や介護度が低いときにはおすすめです。ぜひご家族の方も、親の介護度や容態に合わせて介護サービスを選ぶようにしてください。
まずは、お住まいの地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに問い合わせて、最寄りのデイサービス事業所を見学してみましょう。
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