
転職を考え始めたのですが、ちょっと不安な気持ちもあります。誰かに転職の相談が出来れば良いのですが、そもそも誰に相談すると良いのでしょう?
「転職について、誰に相談すればいいか分からない」「どこかに転職相談できるサービスはないの?」「会社の上司とか同僚に相談するのはさすがにマズイ?」等、転職活動中には、これからの将来に対して不安な気持ちになる人も少なくありません。そうすると誰かに相談したくなるという気持ちも分かります。

こんにちわ、アドバイザーのくまさんです。転職は人生の大きな転機。だからこそ、信頼できる相談相手がいた方が良いでしょう。ハローワークや転職エージェント、上司への相談など、さまざまな窓口について解説します。
なぜ転職相談が重要なのか?
年々、転職市場が活性化している中「自分もそろそろ転職したほうが良いのかな?」「今の仕事を続けるよりも、もっと他に良い会社があるのでは?」と、今の置かれている立場に迷いを感じる人たちがいます。
まわりの同僚や学生時代の同期が転職をして、その後イキイキと働いているという情報が入ったりすると、気持ちが揺れてしまうのも分かります。そして終身雇用が崩れつつある今は、自分のキャリアは自分でコントロールする力が求められます。これはなかなか厳しい現実ですが、その事に気付いている人と、なんとなく会社員生活を続けている人では、いざという場面に直面した時の対応がまったく違うものになることでしょう。
しかし自分のこれからのキャリアについて、おひとりで考えて答えを出すのは難しいもの。1人で悩んでいるとどうしても視野が狭くなり、かえって判断を誤ることもあります。会社選びはそれこそみなさんのキャリアに大きく影響する大事な選択です。
そこで重要なのが然るべき相手との転職相談です。最後はみなさんご自身でどのような選択をするかを判断しなければなりませんが、事前にまわりの方の意見を参考にすることはとても重要なことです。一人で悩んでいると考えが片寄ってしまいます。第三者の意見を聞いたうえで、最終的にみなさん自身が責任をもって新しい道を選ぶべきなのです。

私が30歳の頃、米系投資顧問会社に転職した際は、とくに先輩に相談しまくりました。「一人でぐるぐる考えていても堂々巡りだな」と気づきましたし、国内の終身雇用が約束されている銀行から外資系金融への転職は、いつ解雇されるか分からないといった不安が大きかったのです。外資系金融に転職していったかつての先輩の話しを聞くことで、自分のなかでもようやく、新しい世界に挑戦してみようという一大決心をすることが出来ました。
転職相談は誰がおすすめ?
NGの相談相手:上司、同僚
私がキャリアアドバイザーをしていた時、「誰かに転職相談しましたか?」または「転職することを誰かに話しましたか?」と尋ねると、何人かは「職場の同僚や上司」と言われていました。しかし、会社の同僚や上司に相談すると、社内に妙な噂が広がったり、評価が下がったりするリスクがあります。
またなぜか上司に転職活動の話しが知られてしまい、転職を翻意するように勧められるケースがあります。「これからも期待しているんだよ」「君がいなくなったら困るよ、仕事がまわらなくなるよ」といった話しが出るでしょうが、
しかしこれらの上司の言動・行動は、みなさんのことを本気で想ってのものではありません。部下の離職率がその上司の査定評価に影響するための行動なのです。
つまり会社の上司への相談については、そもそもみなさんの評価にも影響しますし、たとえ相談しやすい上司であってもあまり良い回答は期待できないことが多いと思われます。
要注意の相談相手:家族、友人、恋人
家族や友人、恋人はどうでしょう。これらの方は普段からみなさんの味方でもあるので、きっと相談もしやすいでしょうし、親身になって話しを聞いてくれることでしょう。しかしこの場合も注意が必要です。彼らは転職のプロではないため、ほとんどの人のアドバイスは適切とは言えない可能性があります。
それでも、大切な家族や友人、恋人には事前に相談をしておくべきでしょう。とくにご家庭をお持ちの方は、事前に「転職をするかもよ」といったことは伝えておかなければなりません。職場が変わることはご家族の方も心配になるでしょうし、もし家庭環境に影響がある場合(居住地や年収等)はなおさらです。
おすすめの相談相手:3選
①会社のOB・OGに相談(おすすめ)
すでに会社を辞めて別の道を歩んでいるかつての同僚や先輩は、転職の成功談や失敗談を含めリアルな経験を教えてくれる傾向にあります。
同じ会社出身だからこそ、あなたの状況を理解して具体的なアドバイス、たとえば「今の部署の仕事内容と上司が〇〇なら、転職した方が今より成長できるよ」「今はキツイかもしれないけど、このまま頑張れば〇〇といったポジションで活躍できる可能性があるよ」といった話しをしてもらえるかもしれません。転職に迷っているなら、元同僚や上司への相談はおすすめします。
②転職エージェントに相談(おすすめ)
転職エージェントは最新の転職ノウハウや業界情報を持ち、かつ多数の求職者の転職支援をしてきた実績があります。つまりたくさんの転職成功事例、失敗事例を知り尽くしているのです。
たくさんの求職者と向き合い、その都度いろいろな悩みを聞いています。転職すべきか迷っている段階での相談でもOKですし、希望の条件がまとまっていなくても大丈夫です。直接会う時間が無い場合でも、メールやオンライン面談などの手軽な相談方法が用意されているのも魅力です。
③公的機関(ハローワーク)
ハローワークは国が運営する職業紹介機関で、全国に500カ所以上あり無料で利用できます。専門職員と希望条件の整理や求人検索ができるほか、職業訓練への案内も行っています。ただし、転職活動に関するアドバイスは転職エージェントのキャリアアドバイザーの方が豊富なため、ハローワークよりも転職エージェント、またはハローワークだけでなく転職エージェントとの併用をおすすめします。
ハローワークは転職活動を始める人向けのサービス、転職エージェントも同じサービスなのですが転職に迷っている人に対しても相談をしてくれます。ひょっとしたらみなさんのなかには、転職をしないでそのまま今の会社で頑張った方が良い人もいるかもしれません。そのように考えると、ハローワークを使う場合でも、転職エージェントの併用をおすすめします。

家族や友人は大切な存在ですが、転職相談となると別の考えも必要です。私もかつて家族に転職の相談をしたら「転職は怖い、今のままが一番」と言われました。私の経験からも、やはり転職のプロといえる転職エージェントや、転職をした元会社の同僚や上司から客観的な意見をもらうほうが、適切に判断が出来ると思います。
転職相談が無料:ハローワークと転職エージェント
ハローワークの特徴
ハローワークは、国(厚生労働省)が運営する職業紹介所で、全国どこでも利用は無料、訪問時の予約も必要ありません。一対一の職業相談や求人検索、職業訓練の紹介、セミナーの開催などを行っており、公的機関ならではの安心感があります。
ハローワーク利用のメリット
・地元企業や中小企業の求人が多い
・求職者向けセミナーや説明会が豊富(受講は無料)
・職業訓練(ハロートレーニング)を案内してくれる
・全国500カ所以上あり、アクセスしやすい
ハローワーク利用のデメリット
・大企業やハイキャリア向けの求人は少ない
・キャリアカウンセリングが手短に終わることもある
・担当者の質にばらつきがある
転職エージェントの特徴
転職エージェントについても求職者のみなさんは無料で利用が出来ます。転職エージェントのビジネスモデルは、求人企業側から報酬を得ているため、求職者のみなさんは費用がかかりません。
リクルートエージェントやマイナビエージェント、doda等の大手の転職エージェントは求人数が多く転職支援の実績も豊富です。登録をするとみなさんを担当する専任のキャリアアドバイザーが、転職の相談から内定までを一貫してサポートしてくれます。また、大手の転職エージェント以外にも、専門の領域に特化した転職エージェント、たとえばIT業界やハイクラスに特化した転職エージェント、女性の転職支援が得意な転職エージェントなどもあり、求職者のみなさんのニーズに合わせたサービスも増えています。

かつて私が担当させて頂いた求職者の方は、ハローワークを併用していました。その方はハローワーク経由で地元の優良企業に出会い、転職活動が大成功しました。「ハローワークはちょっと、、」とかご利用したこともないのに「どうせ使えないでしょ」と思い込んでいる方もいるようですが、意外な掘り出し物の求人に出会える可能性があったり、何よりも無料ですので活用を検討してみるのも良いでしょう。
転職相談を上司にしてもいいの?
「上司に転職の相談をするべきか?」、これは微妙で難しい問題です。同僚や上司に転職の相談をすることで、社内で噂が広まり評価が下がるリスクもあると先述しました。
しかし上司への転職相談はリスクはあるものの、現在の職場でのキャリアアップや異動の可能性を考える場合は上司との話し合いが最適でしょうし、ひょっとしたら転職よりもそのまま会社に残るのが最適な解決策になるケースもありえます。
それでもいろいろな事を考えると、上司への相談はやはりある程度転職の意思が固まった後にした方が良いかもしれません。
上司に相談すべきケース
・会社の制度や異動の仕組みを確認したいとき
・退職時期や引き継ぎについて相談したいとき
・退職願を出す前に円満に辞めたいとき
上司に相談するときの注意事項
1. タイミングを選ぶ:繁忙期や重大プロジェクトの前後は避ける
2. 感情的にならない:不満だけをぶつけず、キャリアアップの意図を伝える
3. 具体的な希望を持つ:(可能なら)異動や働き方の改善など、転職以外の選択肢も提示する

かつて私が、銀行から投資顧問会社に転職しようと決心したとき、まずは当時の上司に、そして迷惑が掛からないように早めに相談をしました。「この先どうなるかわかりませんが、外資系で挑戦をしてみたい」と率直な気持ちを伝えたところ、最終的には気持ちよく送り出して頂けました。礼儀と誠意をもって話したことで、ご理解してくれたのだと思います。
おすすめの転職エージェント
転職エージェントは数多くありますが、ここではおすすめの5社を紹介します。
リクルートエージェント(未経験OKな求人が豊富)
求人数約20万件(公開求人のみ)と国内トップ。業界未経験OKの求人を多数保有しており、転職成功者は年間約50,000名。地方拠点が全国に18カ所あるため、地方在住でもサポートを受けやすい。
doda(デューダ)(地方求人をお探しなら)
地方優良企業とのパイプが強固で、特に東北・北陸・九州エリアでの求人が豊富。キャリアアドバイザーが現地企業の人事担当と定期的に情報交換を行っているため、「地元企業の雰囲気」をリアルに把握した上で紹介してくれる。

「なんだ、おすすめがリクルートエージェントとdodaかよ」と、おっしゃらないでください。プロの私の目線から見ても、この2社は総合的な観点から登録をしておくことをおすすめします。評価ポイントは、圧倒的に多い求人案件数と、今までの転職成功の実績数です。
JACリクルートメント(ハイクラス・ミドル層)
- 特徴:ミドル~ハイクラス向け求人を扱い、外資系や大手管理職ポジションを豊富に保有。平均面談~求人紹介スピードは30日以内。
- 強みポイント:2025年4月時点で外資系管理職求人が前年比20%増加。入社後定着率85%以上を常に公表しているため、ミドル層の安心感が高い。
- おすすめ対象:40代・50代で年収800万円以上を狙う管理職・スペシャリスト。
パソナキャリア(業界専任コンサルタントの丁寧サポート)
- 特徴:業界・職種ごとに専任コンサルタントを配置し、面談満足度は90%。平均面談~求人紹介までのリードタイムは7日以内。
- 強みポイント:2025年5月に「金融業界専門チーム」を新設し、関連求人が前年比15%増加。キャリア相談重視の人から高評価。
- おすすめ対象:丁寧なキャリアサポートを希望し、企業とのマッチング精度を重視する人。
マイナビエージェント(在宅勤務・時短求人多数)
- 特徴:マイナビグループの知名度の高さがあり、就活学生には圧倒的にナンバー1の支持をされている。
- 強みポイント:数年前までは20代と30代を中心とした転職支援に強みがあったが、最近はミドル層からも評価されている。
- おすすめ対象:以前より「会う」「聞く」といったキーワードをサービスコンセプトとしており、求職者に寄り添う姿勢は転職エージェントのなかでも上位に入る。

転職エージェントを利用する際、担当者との相性はとても大事です。以前、私が支援した50代の男性は、初めの担当者と話が合わず成果が出ませんでした。担当者を変えてもらったところ、すぐにマッチする求人を紹介され、希望企業に転職できたのです。遠慮せず、自分に合うサポートを求めてくださいね。
転職相談前にしておきたい4つの準備
相談窓口に行く前に、自分の考えを整理(キャリアに関する棚卸し)をしておくことが重要です。適切な準備をしないと、相談時間を無駄にするだけでなく、こらからの将来も間違えてしまう可能性があります。
- 本当に転職すべきか確認する
目的意識がない転職は失敗のリスクが高くなります。「なぜ転職したいのか」「現職の不満は何か」を自問自答してみましょう。 - 悩みや不満を言語化する
「仕事にやりがいを感じない」「残業が多すぎる」といった悩みを深掘りし、具体的な原因を探ってみましょう。 - 優先順位を決める
給料・仕事内容・勤務地・働き方など、転職で何を重視するのかを整理し、譲れない条件と妥協できる条件を明確にしておきましょう。 - 市場価値を把握する
同業他社の給与水準や必要なスキル、募集背景を調査し、自分のスキルがどの程度通用するのかを知っておきましょう。

「自分の棚卸しなんて時間の無駄」と思うかもしれませんが、この棚卸しは本当に大切。私が人材業界から介護分野に転職したときも、業界が変わる事への不安もあり、今までやってきたことと、これから本当にやりたいことを書き出してみました。するとそのとき「社会貢献ができる仕事をしたい」「人の役に立てるような仕事がしたい」という本音が見えてきたのです。面倒くさい作業ですが、効果はありますよ。
よくある質問と事例紹介
よくある質問について
Q1. 転職エージェントとハローワークはどちらが良い?
どちらも無料で利用できますが、目的によって使い分けるのが賢明です。ハローワークは地元中小企業の求人が豊富で、職業訓練やセミナーが充実しています。一方、転職エージェントは大手企業や専門職の求人が多く、書類添削や面接対策などのサービスが手厚いのが特徴です。おすすめは転職エージェントですが、ハローワークを利用する際は、転職エージェントを併用することをおすすめします。
Q2. 転職相談は転職が決まっていなくても受けられる?
転職エージェントの場合は、転職活動をするかどうか迷っている段階でも相談が可能です。将来のキャリアプランを相談したり、転職をするべきか、それとも現職を続けるべきかといった相談をすることも可能です。
Q3. ミドル世代や、介護と仕事の両立に特化したサービスはある?
介護相談やミドル世代への転職支援をするサービスはいろいろあります。別記事にて特集ページをご用意していますので、そちらを、それぞれ介護や転職についての相談をしてくれる公的機関や専門のキャリアアドバイザーがおすすめです。私も「Dr.介護と仕事のアドバイザー」として、企業向けに介護離職防止のアドバイスを行っています。
事例の紹介
ママ美さん(百貨店勤務43歳)の場合

仕事と家事、そして子供と親のこと。もうどれだけ時間があっても足りません。転職した方が良いのでしょうか?でも転職に自信がありませんし。
百貨店で課長職に就くママ美さんは、繁忙期の長時間労働に悩み、以前働いていた紳士服売り場への異動を希望しています。彼女はハローワークとエージェントの両方で相談した結果、百貨店内でのキャリアパスや異動制度を確認することができ、転職ではなく社内異動で問題解決できそうだと気づきました。家族との時間を大切にしたい彼女にとって、上司への相談と公的機関の情報収集が功を奏した例です。
まとめ
転職相談は迷いや不安を整理し、理想のキャリアに近づくために必要です。
しかしながら相談相談の窓口には向き不向きがあります。同僚や上司に相談する際は慎重に、家族や友人の意見は参考程度に留め、プロや経験者の客観的な視点を活用するようにしましょう。
ハローワークや転職エージェントは無料で利用でき、専門的なアドバイスを受けられます。相談前には、自分の悩みや希望を言語化し、転職で何を実現したいのかを明確にすることが大切です。

転職は勇気が必要な一歩ですが、あなたの人生を豊かにするための大切なチャンスでもあります。どんなに小さなことでも、誰かに相談することで道は開けますよ。応援しています!