「えっ、学校の先生を辞めて、他の会社へ転職！？」
学校の先生が転職だなんて、あまり聞きなれないせいか、少し驚きかもしれませんね。じっさい先生の転職は、以下のようになっています。教員の転職（離職）率と一般企業正社員の転職率を比較してみましょう。
| 対象 | 転職（離職）率 |
|---|---|
| 小学校教員（公立） | 0.93％ |
| 一般企業 正社員 | 7.2％ |
公立小学校の教員のみなさんの、令和5年度の離職率が約0.93％となっていて、極めて低い水準にとどまっているのがわかります。一般企業の正社員の転職率が7.2％ですので、教員の約7.7倍の高い転職となっています。
全国の小学校教員は、2024年時点で約42万5,174人。うち女性が62.6％を占め、年齢別では50歳以上が34.5％、40～49歳が22.9％、30～39歳が26.7％、20～29歳が16.0％と、教員の約半数が40代後半以上という状況です。
なかでも40代以上の世代の先生方は、ご自身の「ライフステージの変化」や「親の介護」と隣り合わせです。そしてそのようなステージに直面した先生は、授業準備や保護者対応、校務に追われる日々を送っていて、これからの働き方に不安や悩みを抱えているようです。
先生の転職（離職）率が低いことからもお分かりのように、周囲にそのような仕事についての悩みを相談する相手も少ないようです。ひとりでキャリアプランについて悩んでいても、なかなか今後の見通しが見えづらいことでしょう。
小学校教員が転職を考える「多様な理由」と現状の課題
小学校教員の皆さんが転職を検討する背景には、実に多彩な事情があります。まず長時間労働です。授業準備や資料作成だけでなく、朝の児童対応、放課後の課外活動、保護者会、行事準備などが重なり、月間残業が長時間に達する教員も少なくありません。特に学期変わりや運動会・文化祭シーズンは深夜まで学校に残るケースもあり、プライベートの時間がほとんど取れないと感じる声が多く寄せられています。
■ 家庭との両立の難しさ
小さなお子さんがいる教員や、実家の親の介護を担う教員にとっては、平日の夕方〜夜間にも頻繁に学校へ赴く必要があり、家庭との時間配分が極度にタイトになります。小さなお子さんがいっらっしゃる場合には「保育園のお迎え」、高齢の親がいる場合には「デイサービスの送迎対応」などが重なり、いつも時間ギリギリでバタバタしているという声は少なくありません。
■ キャリアの停滞感
教員職はなんといっても安定が魅力ですが、その反面、昇進・異動のタイミングが年功序列に左右されやすいという側面もあります。若手教員からすると自分の専門性やリーダーシップを一層発揮できるフィールドを求める人も多いようです。
■ メンタルヘルス・燃え尽き症候群
児童対応のストレスや授業評価の重圧、保護者クレームなどからメンタル不調を訴える教員が増加中。「頑張りすぎて燃え尽きる前に環境を変えたい」という理由で、教員経験を活かしつつストレスの少ない職場を探すケースが後を絶ちません。
こうした多様な事情を背景に、小学校教員の転職ニーズは年々高まってきているようです。しかし一方で、必要な情報が分散していたり、転職のノウハウが体系化されていない現状があります。「どこから手を付ければよいか分からない」「教員としての転職の強みが何か分からない」といった声が聞こえてきます。
家庭（お子さん、親の介護）のケアや自己実現―多様な働き方・転職先の選び方
「お子さんの世話」や「親の介護」、そして「自身のキャリア実現」を両立させたい小学校教員の皆さんにとって、フルタイムの常勤以外の選択肢を考えないといけないことでしょう。ここでは、お子さんや親の介護の負担を軽減しつつ、自己実現や専門性を活かせる多様な働き方と、そのための教員転職先を具体的にご紹介します。
時短勤務・非常勤講師で介護時間を確保
ここからは、親の介護をされている場合を想定して、以降の話しを進めますが、お子さんの世話で忙しい方でも参考になるものです。
週3～4日の勤務にシフトすれば、平日夕方以降や週末の介護時間をしっかり確保できます。非常勤講師の場合、勤務時間は「午前のみ」「午後のみ」など細かく設定できるケースが多く、
- 午前9時〜正午まで：授業対応
- 正午〜午後4時：介護・家事対応
- 午後4時〜夜：オンライン研修参加や教材作成
といった1日のタイムスケジュールが可能。転職サイトで「非常勤」「時短」「週3日」などのキーワードを使って検索すると、介護と両立しやすい求人が見つかります。
塾や家庭教師のようなお仕事もありますので、ぜひそのような案件も検討してみると良いかもしれません。
在宅ワーク・オンライン講師で地域を問わない働き方
介護で実家に滞在しながら都内の子どもを受け持つなど、インターネットを利用したオンライン家庭教師やオンライン教材開発は大きな強みです。ICT環境さえ整えば、
- ZoomやTeamsでの個別指導
- クラウド型教材プラットフォームへのコンテンツ提供
- 教育系YouTubeチャンネルの企画・編集
など自由度の高い働き方が可能です。通信環境・機材費の補助がある企業も増えており、教員転職の強みである「授業企画力」や「分かりやすい説明力」をそのままオンライン上で評価してもらえます。
教育関連企業・NPOでのプロジェクト型就業
介護スケジュールに合わせて働きたい場合、プロジェクトベースの契約もおすすめです。教育系ベンチャーやNPOでは、以下のような仕事があります。
- 学習プログラム開発プロジェクトのディレクション
- 研修コンテンツの企画・講師
- 教育イベントやワークショップの運営サポート
期間を区切った契約なので、「デイサービスに合わせて月〜水」「講義準備は木・金曜」という働き方が可能。教員転職先としても、単発の副業案件から長期契約まで豊富にあります。
副業の専門サイトが最近増えているのですが、そのような専門サイトを利用するとさらにこれらの案件を見つけやすくなることでしょう。
フリーランス講師・教材クリエイターとして独立
一定数の顧客を持つことでフリーランス収入を安定させる方法もあります。以下の手順でスタートできます。
- 副業期間中にオンライン講座や教材サンプルを作成・販売
- 講師マッチングプラットフォームに登録し、案件を獲得
- 徐々に介護負担に合わせたスケジュールを調整
収入モデル例：
月10件×1件5,000円＝50,000円（副業スタート時）
月30件×1件5,000円＝150,000円（軌道に乗った後）
介護との両立を図りながら、自己実現に向けたクリエイティブな仕事が継続できます。
シニア向け教育・地域支援プログラムへの転職
親世代や近隣住民への学び直し支援を行うシニア教育プログラム講師も注目の転職先です。地域密着型のプログラムであれば、介護合間の勤務も調整しやすく、
- 午前中は介護対応
- 午後は地域センターでの講座運営
- 夜間オンラインでの収録・教材更新
など、時間帯をフレキシブルに使えます。地域交流と教育貢献を同時に満たせるため、教員転職 おすすめの一つです。
教員の“強み”を次のフィールドで発揮する方法
教員として培った「子どもとの信頼関係構築力」「教材企画力」「ファシリテーション力」は、転職市場でも大きなアドバンテージになります。以下のフィールドで具体的にどのように活かせるか、事例とともにご紹介します。
オンライン／オフライン研修講師
- 強みの活かし方：「児童の理解度を可視化するスライド作成」と「質問を促す対話型進行」で受講者のモチベーションを最大化
- 具体例：某教育系ベンチャーで、新任教員向け研修講師として月2回登壇。受講後アンケートで「わかりやすい」と97％の高評価を獲得。
- 応募時のPRポイント：「児童の反応を見ながら軌道修正する柔軟性」をアピールし、企業の研修設計チームで即戦力として期待される。
教材開発・コンテンツプランナー
- 強みの活かし方：「学習目標に合わせたカリキュラム設計」「多様な学習スタイル対応のワークシート作成」
- 具体例：某出版社のワークブック開発プロジェクトで、小学生向け算数ドリルの企画担当。発売初月で部数20％増を達成。
- 応募時のPRポイント：「現場目線での教材改善提案経験」を強調し、ユーザー視点の企画力を評価してもらう。
教育コンサルタント
- 強みの活かし方：「保護者とのコミュニケーション力」「多様な家庭事情を踏まえた提案力」
- 具体例：オンライン学習サービスのCS担当として、初期導入サポートを通じて継続率を80％→92％に向上。
- 応募時のPRポイント：「保護者アンケートを活用した顧客満足度向上施策経験」を提示し、数値で成果を裏付ける。
プロジェクトマネジメント／イベント運営
- 強みの活かし方：「運動会や文化祭など大規模行事の運営経験」「スケジュール管理とチーム調整能力」
- 具体例：校外学習やスポーツ大会の運営で50名規模のボランティア調整を担当。トラブルゼロで成功裏に完了。
- 応募時のPRポイント：「1,000名規模のイベント運営経験」を強調し、企業の社内イベントやカンファレンス企画での即戦力性をアピール。
コミュニティマネージャー／ファシリテーター
- 強みの活かし方：「学年委員会や保護者会での調整役」「多様な意見をまとめる合意形成力」
- 具体例：地域教育フォーラムでモデレーターを務め、参加者満足度90％超を達成。後日、運営委員会から感謝状を授与。
- 応募時のPRポイント：「多様なステークホルダーをつなぐハブ役としての実績」を示し、コミュニティ活性化やワークショップ設計に貢献できる点を訴求。
具体的転職活動ステップ＆転職サイト（転職エージェント）活用術
転職活動を成功に導くには、ただ求人を眺めるだけではなく「戦略的かつ効率的なステップ」を踏むことが重要です。ここでは教員の皆さんが、教員転職サイトや転職エージェントをフル活用しながら進める、具体的な段取りとコツを詳しく解説します。
Step 1：自己分析＆市場調査（1～2週間）
- 自己分析シート作成
「これまでの授業で得意だったテーマ」「保護者対応で評価されたエピソード」などを書き出し、⾃身の教員転職 強みを可視化。 - 市場ニーズの把握
教員転職サイトで「小学校 時短」「非常勤 週3日」などキーワード検索し、求人の傾向をチェック。 - エージェント候補選定
リクルート教員転職、マイナビ教員、教員バンクなど、転職エージェント機能のあるサイト3～4社に登録。
Step 2：最初の面談＆求人リストアップ（1週間）
- エージェント面談の準備
自己分析シートと、介護や育児との両立スケジュール案を持参し、希望条件を具体的に伝える。 - 非公開求人の入手
「○○市内」「時短」「オンライン家庭教師可」など、一般公開されない教員転職先情報をリクエスト。 - 求人の優先順位付け
「勤務地」「勤務日数」「報酬」「福利厚生」などを項目化し、スプレッドシートで比較。
Step 3：応募書類ブラッシュアップ（数日）
エージェントからのフィードバックをもとに、職務経歴書と志望動機を改善します。特に
- 「児童の理解度改善」「部活動運営での成果」といった定量的な実績を明記
- 介護や育児との両立計画を具体的な時間割で示し、面接官に安心感を与える
Step 4：面接対策＆模擬面談（1週間）
- エージェント模擬面談
よく聞かれる質問例（「なぜ教員を辞めたいのか」「介護と仕事の両立方法」）を実践的に練習。 - 教員→企業ギャップ解消
「教員経験をどう活かすか」を企業目線で言語化し、“教員転職 強み”を明快に伝える練習。 - 面接後のフィードバック
エージェントを通じて面接官のコメントを聴取し、次へ活かす。
Step 5：内定獲得＆条件交渉（1～2週間）
- 複数内定の比較
給与・勤務時間・福利厚生の他、介護支援制度の有無などを細かく比較。 - エージェント交渉代行
希望年収や時短勤務、在宅ワーク可否について、エージェントに交渉を依頼。 - オファーレター確認
労働条件通知書や契約書の内容をエージェントと一緒に精査し、不明点は必ずクリアに。
Step 6：退職手続き＆入社準備
退職届の提出時期や有給消化プランは教員職特有のスケジュール（学期末・年度末）を考慮しつつ、エージェントからアドバイスを受けて円満退職を実現しましょう。入社前には
- 必要書類の提出（年金・保険の切り替え含む）
- 新職場のIT環境確認（オンライン講師の場合は通信テスト）
- 介護スケジュールとの最終調整
以上の「6ステップ×エージェント活用術」を実践すれば、教員から次のフィールドへの転職も安心・確実です。
転職後に描く“キャリア×ライフデザイン”
教員から新たなフィールドへ飛び込んだ後は、ただ「仕事をこなす」だけでなく、自分らしいライフデザインを同時に叶えることが大切です。ここでは、教員の転職後に考えるべき３つのステップと5年後までのキャリアモデルをご紹介します。
ステップ1：1年目―安心の基盤づくり
- 【業務適応】
新しい職場環境に慣れ、業務内容やチーム体制を理解。
例）オンライン家庭教師なら、レッスンプラン作成とシステム操作をマスター。 - 【時間管理】
介護や育児と両立するための1日のスケジュールを確立。
例）午前中は実家のケア、午後はオンライン授業、夕方に翌日の準備。 - 【人脈構築】
新しく知り合った同僚等と定期的に情報交換。
ステップ2：3年目―専門性の深耕＆発信
- 【スキルアップ】
教材開発なら新しい編集ソフト、研修講師ならファシリテーション研修を受講。
自身の教員としての強みをさらに研ぎ澄ます。 - 【副業開始】
自分の実績をもとに、月数万円規模の副業（ライター・ワークショップ講師）をスタート。 - 【情報発信】
オウンドメディアやSNSで「転職後のリアル」を発信し、専門家ポジションを確立。
ステップ3：5年目―キャリアの多角化＆社会貢献
- 【マネジメント】
プロジェクトリーダーとして新規事業や研修プログラムの立ち上げを牽引。 - 【教育コミュニティ運営】
地域×オンラインで学び直し支援コミュニティを主催し、社会貢献まで展開。 - 【次世代育成】
若手教員や介護ケアラー向けにメンターとして指導し、自身のキャリアもブラッシュアップ。
まとめ
教員の教員の皆さんが転職を検討する背景から、転職サイト（転職エージェント）の活用術、転職先の選択肢、そして教員としての強みの発掘方法までを網羅しました。最後に改めて、成功に向けたポイントを振り返ります。
- 自己分析で強みを明確に：これまでの授業・行事運営・保護者対応の実績を棚卸し。
- 複数の転職サイト・転職エージェント登録：リクルートエージェント・マイナビエージェント等を併用。
- 求人選びはライフデザイン優先：時短・在宅・プロジェクト型など、多様な働き方を検討。
- 面接・書類で具体的数値を提示：部活動運営人数、教材導入後の理解度向上率などをアピール。
- 転職後は5年後までのキャリアプランを策定：定期的に見直し、学び直しや発信で自己実現を深める。
以上のステップを実践すれば、理想のキャリアパスを描き、充実した新生活をスタートできるはずです。まずは今日から自己分析シートを作成し、最初の一歩を踏み出しましょう！
「教員としての誇りを胸にしながらも、でも『自分の今とこれからの人生の時間』を大切にしてほしいです。たとえば親の介護と仕事のあいだで悩んでいる先生。この記事を読んで新しい一歩を踏み出す勇気をもっていただくことで、新しい未来を切り拓けますよ。」