
父と母も高齢になってきたので、日常の生活負担を少しでも和らげるため、老人ホームの検討をしています。そこでお聞きしたいのですが、老人ホームに夫婦で入居は出来ますか?それと同じ部屋に住みたいのですが。

こんにちわ、アドバイザーのくまさんです。はい、老人ホームにご夫婦で入居するのは可能です。どのような施設があるか、またはその探し方について解説しますね。
老人ホームの入居を検討し始めた親を離れ離れにしたくない、あるいは自分たち夫婦で安心して暮らせる施設を探したい…。
そんな思いから、そもそも「夫婦で老人ホームに入れるの?」という疑問を持つ方がいます。
この記事では、夫婦で入居できる老人ホーム、その種類や費用、入居条件、選び方まで解説します。

こんにちわ、アドバイザーのくまさんです。ご夫婦で入居して、いつまでも一緒に!すばらしい話しですよね。ここで、ぜひその夢を実現するサポートをさせてください。
夫婦で老人ホームに入れる?よくあるケースを整理しよう
「老人ホーム」と一言でいっても、入居条件や施設の性格はさまざまです。特に夫婦での入居を考える場合、「二人とも元気」「どちらかが要介護」「一方が認知症や医療的ケアが必要」など、多くのケースが考えられます。
たとえば、まだ元気なご夫婦が将来の安心のために早めの入居を検討するケース。あるいは、片方が要介護状態で、自宅での介護に限界を感じているご夫婦。さらに、夫婦で同時に要介護となった場合など、それぞれどのような施設なら同居が可能なのか——
こうしたケースを一つずつ整理しておくことが、最適な施設選びの第一歩となります。老人ホームはいろいろ種類もあるので、ここで整理していきましょう。
夫婦で入居できる老人ホームの種類と特徴【比較表付き】
以下の比較表では、夫婦での入居可否や医療・介護対応、費用目安などを一覧にまとめています。施設の種類もさまざまですので、ここでそれぞれの大まかな違いについて把握してみましょう。
施設種類 | 夫婦での入居 | 医療対応 | 介護対応 | 主な特徴・注意点 |
---|---|---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | ◎可能(2人部屋・隣室型あり) | △(軽度のみ) | △(要支援~軽度要介護) | 夫婦一緒に暮らしやすいが、介護・医療対応には限界。外部サービス連携が必要。 |
介護付き有料老人ホーム | ○可能(2人部屋または個室隣接) | ○ | ◎(重度対応可) | 介護度が異なる場合も対応しやすく、看取りも可能な施設あり。 |
住宅型有料老人ホーム | ○可能(施設により異なる) | △ | △~○ | 要介護は外部サービスと連携。自由度高め。 |
グループホーム | △(ごく一部の例) | ○ | ◎(認知症に特化) | 基本は同性の少人数共同生活。夫婦同室は極めて稀。 |
特別養護老人ホーム(特養) | △(同一施設で別室入居は可能) | ○ | ◎(要介護3以上) | 2人部屋なし。同室不可が原則。空き待ちが長い傾向。 |
介護老人保健施設(老健) | △(原則個別対応) | ◎ | ◎ | リハビリ中心で長期入居は不可。退所前提。 |
ケアハウス(軽費老人ホーム) | ○(2人部屋や隣室) | △ | △ | 自立〜要支援向け。費用控えめだが空きは少ない。 |
夫婦での入居可否は、施設の種類によって大きく異なります。
たとえば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は比較的自立した生活が可能なご夫婦に人気です。一方、重度の介護が必要な場合には介護付き有料老人ホームの方が安心。
また、同じ施設でも「2人部屋があるかどうか」「個室を隣同士で確保できるか」など、具体的な同居スタイルも確認が必要です。
上記の表を参考にしながら、老人ホームの検索サイトなどを利用して、夫婦同居可能な施設を調べてみましょう。以下に代表的な2つのサイトを紹介します。
「みんなの介護」でさがす
掲載施設数 | 約58,000件以上 |
検索機能 | – リアルタイム空室情報 – 地域ごとの相場表示 – 実際に見学した方の口コミ – 360°パノラマ画像掲載 |
相談サポート | 無料の入居相談(プロの入居相談員が対応) |
ふたり部屋 | 約2,000施設掲載中(2025年6月時点) |
「LIFULL介護」でさがす
掲載施設数 | 約57,000件以上 |
検索機能 | – 路線・車での移動時間を含む絞り込み – 入居費用・条件の明確表示 – 見学受入可否/オンライン相談対応 |
相談サポート | LIFULL介護入居相談室(電話・LINE対応/専門相談員在籍/24時間自動応答) |
ふたり部屋 | 約1500施設掲載中(2025年6月時点) |
老人ホーム紹介会社も覚えておこう
また、もうひとつ老人ホームを探すときに覚えておいてほしいのが「老人ホーム紹介会社」。先ほど紹介した「みんなの介護」や「LIFULL介護」は、いわゆる「老人ホーム検索サイト」。このふたつのサービスは、ともに無料で利用ができて、老人ホームを紹介してくれるところ。両者の簡単な違いは、老人ホーム紹介会社には「あいらいふ」や「みんかい」といった大手の会社があり、店舗があるので対面での相談が可能です。みなさんの希望条件を伝えることで、その希望にあった老人ホームを紹介してくれます。一方の老人ホーム検索サイト「みんなの介護」「LIFULL介護」は全国から老人ホームを検索することができて、検索機能のほかにも電話やオンラインで入居相談ができるサービスがあります。以下に比較表をまとめてみました。
項目 | 老人ホーム紹介会社 | 老人ホーム検索サイト |
---|---|---|
サポートの手厚さ | ◎ 専門相談員が個別に提案・見学同行・手続き代行も可 | △ 施設は自分で探し、資料請求や見学予約は自分で手続きが必要 |
情報の範囲 | △ 狭いエリアの提携施設が中心で、全国の施設はカバーしていないことがある | ◎ 全国の施設を比較可能(検索・絞り込み機能あり) |
情報の深さ | ◎ 空室・価格交渉・キャンセル情報など、非公開の内部情報も得られる | △ 情報は基本Web上のもの。鮮度にバラつきがある場合も |
対応時間 | △ 平日昼間が多く、夜間・土日は相談しにくい | △ 平日が多く、土日は相談しにくい |
体験談・口コミの有無 | △ 担当者に直接聞けるが、件数は少なめ | ◎ 利用者の口コミが多数掲載されていて、比較材料が多い |
専門スタッフとの相談 | ◎ ケアマネ・福祉士などが親身に対応 | ○ アドバイザーに電話相談できる機能があるが、相談者のキャリアはバラツキが多い |
担当者の質のばらつき | △ 経験や相性で提案の質に差が出ることがある | △ 経験や相性で提案の質に差が出ることがある |
夫婦で同居するために確認すべき5つのポイント
- 2人部屋または隣室型があるか?
施設によっては2人部屋のあるところもありますが、実はそれほど多くはありません。「同室にこだわるか」「隣室でもよいか」という視点も大切です。 - 介護度が異なる夫婦への対応
片方が要介護1、もう片方が要介護3といった場合、施設側の対応力が問われます。介護付き有料老人ホームのように柔軟に対応できる施設がおすすめです。 - 認知症や医療対応の受け入れ可否
認知症がある場合、受け入れ施設は限られます。また、医療依存度が高いケースでは、看護師常駐や医療連携のある施設が必須です。 - 看取り・終末期の対応
将来的にどちらかが看取りケアを受ける可能性も考慮し、対応しているかどうかも確認すべきです。 - 空室・入居待機状況
特養や人気のサ高住では、数か月〜1年以上待つこともあります。早めの情報収集がカギです。とくに特養は条件がかなり限定されるので事前の問い合わせで詳細を確認するようにしましょう。
夫婦で入居すると費用はどうなる?
費用については、2人分の月額費用や初期費用がかかる一方、2人部屋で入れる施設では個別に入居するより安く済む場合もあります。
たとえば、1人30万円の部屋を2つ契約するよりも、2人部屋で月50万円なら実質的に割安です。ただし、夫婦どちらかの介護度が高くなると、追加料金が発生するケースもありますのでご注意ください。
介護保険でカバーできる範囲や、医療費控除などの制度もあわせて把握し、ライフプランに組み込んで考えることが重要です。
施設種類 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 |
---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 数十万円~数百万円 | 約15万~30万円 |
介護付き有料老人ホーム | 0円~1,000万円以上 | 約20万~40万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0円~1,000万円以上 | 約15万~35万円 |
グループホーム | 約10万~30万円 | 約12万~20万円 |
特別養護老人ホーム(特養) | 原則0円 | 約8万~15万円 |
介護老人保健施設(老健) | 原則0円 | 約10万~20万円 |
ケアハウス(軽費老人ホーム) | 数十万円 | 約10万~20万円 |
夫婦で入居している人はどれくらい?データと実際の声
統計で見てみると、夫婦で同時に入居している事例はそれほど多くはありません。2020年代の推計でも、2人部屋を設けている施設は全体の約15〜20%程度とされます。
多くの施設は個室設計が基本であり、片方が空きを待っている間に、一方が先に入居する形になることもあります。
また、実際に同居できたとしても、認知症や身体状況により同じ空間での生活が難しくなることも。「一緒に入る」ことがゴールではなく、「一緒にいられる工夫」をどこまでできるかが大切です。
実際の声|夫婦で入居してよかったと思うこと
ここで夫婦で老人ホームに入居した実例を紹介しましょう。ご夫婦からの感想とご家族からの感想になります。

このように、実際に夫婦で入居した方々やそのご家族からは、「心の支えになる」「生活の質が上がった」「家族も安心できた」といった声が多く寄せられています。“離れずに暮らす”という選択肢が、生活そのものを豊かにすることにつながるのかもしれません。
「まだ入りたくない…」そんな親や配偶者とどう話す?
「まだ施設には入りたくない」と考える親や配偶者も多いものです。特に元気なうちは、「自分はまだ大丈夫」と思いがちです。
そこで、「施設=終末期」というイメージを変えていくことが大切です。たとえば、サ高住のような自立生活が可能な施設は、「第二の住まい」としての選択肢になります。
老後の不安や万一のときの備えとして、“早めに入ること”が安心につながることも。大切なのは、「いきなり決める」のではなく、「一緒に話す」ことです。
よくある質問:老人ホームの2人部屋、夫婦での費用など
- Q:夫婦で同室の施設(2人部屋)はどうやって探せばいい?
- A:検索サイトや紹介センターで「2人部屋対応」の条件で探せます。事前の見学が重要です。
- Q:片方が認知症でも夫婦で入居できる?
- A:グループホームは同性の入居者で構成されるため、難しいことが多いです。介護付き有料老人ホーム等が現実的です。
- Q:片方が元気で介護認定がないけど大丈夫?
- A:サ高住や住宅型有料老人ホームでは自立・要支援の方も受け入れ可能です。
- Q:入居後にどちらかが急に要介護になったら?
- A:施設によっては介護フロアへ移動が必要になることも。契約前に確認を。
- Q:2人で入ると費用は倍になるの?
- A:施設によりますが、2人部屋だと若干割安になる場合があります。ただし、食費・介護費用は個別計算です。
まとめ|「夫婦で入居」から考える、老後の安心な暮らし方
高齢期を迎えるにあたって、「ふたりで一緒に暮らしたい」という想いはとても大切なものです。
しかし現実には、施設の選択肢や費用、介護度、医療対応といった様々な条件があり、必ずしも理想通りにいくとは限りません。
だからこそ、早めの準備と情報収集がカギ。夫婦で話し合うこと、家族を交えて方針を共有することが、安心できる老後生活への第一歩となります。

「一緒にいたい」という気持ちは、誰にとっても自然なもの。その気持ちを叶えるために、今日から少しずつ、動いていきましょう。
【著者情報】くまさん(介護と転職のアドバイザー)
年齢 | 在籍期間 | 在籍企業 |
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22~34歳 | 10年 | 金融機関勤務(大手銀行、米系証券会社) |
35~45歳 | 10年 | 外資系大手エージェント |
45~50歳 | 5年 | 介護系ベンチャー企業 |
50歳~ | 5年以上 | 独立して介護と仕事のコンサルタント |
年 | 主な出来事 | |
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1970年 | 0歳 | 神奈川県横浜市に生まれる。 |
1992年 | 22歳 | 大学卒業後、みずほ銀行に入行(法人営業担当)。 |
2000年 | 30歳 | 米系証券会社に転職し、主に債券を扱うトレーダーを行う。 |
2005年 | 35歳 | 大手転職エージェントにキャリアチェンジ(ミドル層の転職支援)。キャリアアドバイザーとして求職者のお気持ちに寄り添うカウンセリングを得意とした。 |
2015年 | 45歳 | IPO直前の介護ベンチャー企業に転職し、介護事業者の収益改善コンサルティングに従事。有料老人ホームの経営や人事コンサルタント業務を行う。また、一般ユーザー向けには介護の相談窓口サービスを提供し、とくに仕事と介護の両立に悩む会社員をサポートしてきた。 |
2020年 | 50歳 | 独立し「Dr.介護と仕事のアドバイザー」として企業制度設計や講演、情報発信を開始。その流れで本ブログを執筆中。現在に至る。 |
No. | 得意分野 |
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1 | 介護と仕事の両立支援(一般ユーザー向け) |
2 | ミドル・シニア層(30代~50代)のキャリア再構築・転職支援(一般ユーザー向け) |
3 | 介護人材の採用・定着(介護事業者向け) |
4 | 介護事業者の経営支援(介護事業者向け) |
5 | ダイバーシティ経営(介護離職防止)(介護事業者向け) |
6 | 施設(老人ホーム)選びのアドバイス(一般ユーザー向け) |
7 | 50代以降のキャリア再デザイン(一般ユーザー向け) |