高齢化が進む日本では、一人暮らしや遠方で暮らす親の健康・安全を心配するご家族が増えています。急な転倒や体調不良、または徘徊のリスクを抱える認知症など、離れているからこそご家族の心配は尽きないようです。
そのような不安を解消するためにも、離れていても見守れる「介護見守りカメラ」や「介護見守りセンサー」が強い味方になるかもしれません。
本記事では、これらの見守り機器の基本的な知識から、導入手順、そして実際に介護負担軽減につながった導入事例まで、あらゆる角度で解説します。

介護見守りカメラと介護見守りセンサーを活用して、ご家族の「離れていても安心」を実現しましょう。
見守りカメラ・センサーで安心事例
事例A:深夜の転倒アラートで一命を取り留めたケース
東京都在住、78歳・独居の母親。以前から夜間トイレ頻度が増え、昨年深夜に転倒し救急搬送寸前の経験があった。
▽導入機器と設定
・カメラ:寝室入口に夜間撮影対応カメラ1台
・床マットセンサー:ベッド両脇に2枚設置、離床をリアルタイム検知
・スマホ通知:夜間でも即座に家族へアラート送信
▽運用とアラート受信
・アラーム設定を「ベッドから10秒以内の離床」でトリガー。
・ある深夜3:45、母親がゆっくり歩きながら転倒。床マットが反応し、スマホに「離床&振動」通知が届く。
・通知受信後1分以内に自宅到着、転倒した母親を発見。救急車を呼び、大事には至らず打撲程度で済んだ。
▽ご家族の声
「見守りカメラだけでは気づけなかった。床センサーの振動検知が命を救ってくれました。あの日以来、夜も安心して眠れます。」
事例B:日中の徘徊検知で介護負担が半減したケース
神奈川県在住、82歳・認知症中期の父が自宅から突然外出する徘徊リスクが高まっていた。家族は共働きのため、日中目が離せず精神的負担が大きかった。
▽導入機器と設定
ドア開閉センサー:玄関ドアと勝手口ドアに2箇所設置
振動センサー:リビングと廊下の天井近くに各1台
通知共有:父のケア担当姉妹全員へメール/LINE通知
▽運用とアラート受信
日中、夫婦で外出中に勝手口ドアが開閉→即座にアラート受信。
アプリ画面で玄関側カメラ映像もワンタップで確認。
近隣にいる長女が駆けつけ、父を無事確保。誤発信もなく、家族全員安心。
▽ご家族の声
「これまでは在宅訪問ヘルパーの時間だけが見守りだったが、センサー導入で見守りの“抜け”がなくなり、日中の心配が半減しました。」
事例C:遠隔通話で孤独感をケアできたケース
大阪府在住、90歳・要介護2の祖母。家族は遠方にあり、月1回の訪問しか難しい状況。祖母が寂しがり、食欲不振や体調低下が見られた。
▽導入機器と設定
・双方向通話カメラ:リビングに1台設置
・スケジュール機能:毎朝9時と夕方17時に自動発信設定
・録画保存:通話動画をクラウドに自動保存
▽運用とコミュニケーション
・毎朝、孫がアプリから「おはよう!」と声かけ。祖母は笑顔で応答し、1日の予定を報告。
・夕方も同様に挨拶と健康チェック。オンラインで料理レシピを一緒に見ながら会話。
・録画した動画を両親と共有し、家族全員で祖母の様子を見守る
▽ご家族の声
「顔を見ながらの会話が祖母の気分を明るくしてくれました。食事の量や表情もオンラインで確認でき、寂しさケアと体調管理が同時にできるのは驚きです。」

私がマンションで一人暮らしをしていた時のこと。隣人に住むご高齢のご婦人が、夜に私の扉をノックすることが頻発していました。ちなみにご婦人は一人暮らしでした。夜中にノックがあると、近隣に住むご家族へ連絡し、その都度ご家族が駆けつけていました。徘徊とそれをサポートするご家族の大変さを痛感したことがあります。
そもそも介護見守りカメラとは?

くまさん、こんにちは。主人の転勤で今は東京で働いているのですが、実家の愛知にいる両親が心配で…何か遠隔で見守る方法を検討しています。見守りカメラと見守りセンサー、どちらが向いているでしょうか?

こんにちは、ママ美さん。遠隔地でご両親を見守るとなると、カメラとセンサーのいいところ・気をつけるポイントを押さえておくと選びやすいですよ。まずは見守りカメラのポイントです。
カメラ型見守り機器の特徴
・リアルタイム映像:PCやスマホで、いつでも・どこでも自宅の様子を確認可能
・録画や録音機能:異変があったときの映像を自動保存。後で状況把握や原因分析に役立つ
・双方向通話:本人と遠隔で会話できるマイク・スピーカー内蔵型も。孤独感の緩和に効果的
・AI検知機能:人の動きを感知すると自動で通知。転倒や徘徊の早期発見に貢献
導入メリット
・24時間365日見守り:人手不足の介護施設や訪問介護が入らない夜間・休日も安心
・コスト削減:介護ヘルパーの訪問頻度を減らしつつ、緊急時のみ駆けつける運用が可能
・心理的安心感:離れて暮らすご家族が「見守られている」実感を得られ、過度な不安を軽減

映像で様子がわかるのは安心ですね。でも、カメラを置くのって抵抗があるかもしれません…

確かに、『見られている』感覚に抵抗がある方も。そこでおすすめなのが見守りセンサーです。見守りセンターについて説明しますね。
介護見守りセンサーとは?
主なセンサーの種類
・ドア/窓開閉センサー:部屋や玄関ドアの開閉を検知し徘徊の兆候をキャッチ
・ベッドセンサー:就寝・離床を検知。夜中の徘徊や起き上がり時の転倒リスクを把握
・床マットセンサー:床に敷くタイプ。踏むとセンサーが反応し、起床や転倒を検知
・振動センサー:家具や床の振動を感知し、激しい動きや転倒を検知
・温度や湿度センサー:居室内の環境をモニタリングし、熱中症・低体温症リスクを把握
センサー導入のメリット
・非接触・非映像型でプライバシー配慮:カメラを嫌がる本人にも安心
・微細な変化を検知:映像に映らない細かい動きもキャッチ
・複数設置でゾーン監視:トイレ・玄関・リビングなど要になる箇所を重点見守り

なるほど、プライバシーを守りつつ異常だけ知りたいならセンサーが良さそうですね。でも、細かい様子はわからないのかな…?

その通りです。『全体像を映像で見たい』ならカメラ、『気配や異変だけを簡潔に知りたい』ならセンサーが向いています。遠距離なら両方を組み合わせるのもおすすめですよ。例えば、リビングにはセンサーで日常の動きを監視し、万一のときだけカメラを起動する。コストもプライバシーもバランスよく管理できます。
カメラとセンサーの組み合わせで実現するトータル見守り
シナリオ別おすすめセッティング
・転倒防止重視:リビング中央にカメラ、床マットセンサー×2設置
・徘徊・夜間見守り:玄関ドアにドアセンサー、廊下に振動センサー+ナイトビジョンカメラ
・体調変化検知:寝室にベッドセンサー、温湿度センサー、双方向通話カメラ
アラートの受信方法
・スマホ通知:専用アプリでリアルタイムプッシュ通知
・専用モニタ:複数の高齢者を同時に見守る場合、タブレット型モニタが便利
・メール/SMS:通知記録をメールで残せる機種も
共有方法とプライバシー保護
・家族専用アカウント:映像・通知を共有する家族を限定
・録画データの暗号化:保存データにアクセス権限を設定
・位置情報連携:センサー感知時、自動で訪問距離や所要時間をGoogleマップで算出
機器選びのポイント
設置場所と環境チェック
電源の確保:カメラはコンセント、センサーは乾電池/バッテリー式
通信環境:Wi-Fiの電波強度、ルーター設置場所を事前に測定
見通し範囲:障害物や反射により死角が生じないかシュミレーション
画質・検知精度・AI機能
解像度:最低720p、できれば1080p以上で顔や動作を鮮明に
夜間撮影:赤外線LED有無、最低5m先まで映るか確認
AI検知:転倒検知、人物/ペット判別など誤報を減らすAI性能
費用比較
機器種別 | 初期費用 | 月額費用 | 主な機能 |
カメラ単体 | 8,000~20,000円 | 0~1,000円 | 映像・録画・通話 |
ベッドセンサー | 5,000~15,000円 | 0円 | 起床・離床検知 |
ドアセンサー | 1,000~3,000円/個 | 0円 | 開閉検知 |
サービス+保守 | 設定・工事費別途 | 1,000~3,000円/月 | メンテナンス・クラウド保存 |
見守り機器は介護保険の適用範囲?
介護保険でカメラやセンサーが使えるかどうかは、製品の分類によって変わります。
▽原則として「見守りカメラ」は適用外
・家庭用の一般的な監視カメラや、映像記録のみを行う機器は介護保険の対象にはなりません。
▽ただし「認知症老人徘徊感知機器」は対象。
「認知症老人徘徊感知機器」として福祉用具貸与サービスに指定されている機器(GPS付き振動・開閉センサー内蔵カメラなど)は、要介護1以上の認定を受けた方が、指定事業者を通じてレンタルできます。
・適用要件:原則、要介護1以上で利用可(要支援は対象外)itsumono-gps.jp
・要介護2未満でも、市区町村が「必要」と認めれば適用される場合があります。
・レンタル費用の自己負担は1〜3割(所得区分による)
▽利用の流れ
・担当ケアマネジャーに「徘徊感知機器」を希望する旨を相談
・指定福祉用具貸与事業所で機器を選定・見積もり
・ケアマネが「福祉用具貸与計画書」を作成
・事業所から機器をレンタルし、月々の介護保険自己負担で利用開始
家庭用のカメラ・センサーがすべて保険適用になるわけではありませんが、認知症徘徊感知機器として指定された製品は、要介護認定を経由することで介護保険のレンタル対象になります。導入を検討する際は、まずケアマネジャーへご相談ください。
導入前のチェックリスト&設置の流れ
必要機器リスト
機器種類 | 内容例 |
---|---|
カメラ | 最低1台、要介護度や部屋の広さに応じて複数台 |
センサー | ドア/床マット/ベッド/振動の組み合わせ |
ネットワーク機器 | Wi-Fiルーター、電源タップ |
モニタ用端末 | スマホ/タブレット |
設定手順
ステップ | 内容 |
---|---|
初期設定 | メーカーアプリをダウンロード |
機器登録 | QRコード読み取り or 初期ID入力 |
Wi-Fi接続 | 2.4GHz帯指定のルーターなら安定 |
検知範囲調整 | 試験動作で感度調整 |
通知テスト | 家族アカウントにプッシュ通知が届くか確認 |
テスト運用

1週間ほど稼動させ、誤検知や死角を洗い出し場所・角度・感度を微調整
よくあるお問い合わせ
Q1. カメラだけで十分ですか?センサーだけでいい?
A. カメラは“映像”で状況把握ができる一方、プライバシーや死角が課題。センサーは非映像で検知精度が高いが“何が起きたか”はわかりにくい。用途や場所に応じて両者を併用するのが理想です。
Q2. 電波が弱い家でも使えますか?
A. 中継器(メッシュWi-Fi)、有線LAN対応機種、SIM(4G/LTE)搭載機種を選ぶと安定して利用できます。
Q3. プライバシーはどう守られますか?
A. 家族専用アカウントの運用、録画データの暗号化、録画ON/OFF設定など、アプリ・機器側の機能で制御可能です。
まとめ:同居できなくても安心見守りを始めよう
ポイント | 内容 |
---|---|
二重見守り | カメラ+センサーで映像と検知の両面から安心感を提供 |
家族共有 | 遠隔通話とリアルタイム通知で、離れていても心をつなぐ |
導入しやすさ | トライアルプランや初期設定サポートを活用し、スムーズに導入 |

まずはお試しレンタルや無料デモで、自宅環境との相性をチェック。最適な介護見守りカメラ&介護見守りセンサーで、大切なご家族の安全とご自身の安心を手に入れましょう。
関連リンク
▽介護サービスについて理解する
▽介護について相談したい
▽仕事と介護の両立について知りたい