
国民年金で暮らすご高齢者が老人ホームへの入居が可能かを本記事で検証していきましょう。
老人ホームの費用相場と5万円プラン
1. 全国平均の相場感
まずは、一般的な老人ホームの月額費用相場を押さえましょう。
・軽費老人ホーム(ケアハウス):12万~18万円
・特別養護老人ホーム(特養)住宅型:15万~22万円
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):13万~20万円
・有料老人ホーム(介護付):18万~25万円
こうしてみると、「5万円での老人ホームへの入居」は厳しそうです。ふつうに介護施設(老人ホームなど)を探しても希望するものは見つからないことでしょう。
2. 現在の国民年金の平均受給額
・国民年金のみで暮らしている場合、最新の公的データによると平均受給額:64,900円/月(2025年度・日本年金機構公表値)
・国民年金収入の大部分を「老人ホーム 5万円」に充てるケースも。
・残る1万4,900円で光熱費や日用品、医療費などを賄う必要があります。
3. 年金受給額から見た「負担可能額」の目安
〇国民年金平均受給額 64,900
▲老人ホーム利用料(目標) 50,000
残りの可処分支出 14,900
▲住宅費/光熱費:6,000~8,000円
▲食費/日用品費:4,000~6,000円
▲医療費:自己負担分数千円
ご家族の収入サポートがある場合は選択肢が広がりますが、年金受給のみで「5万円で老人ホームの入居」を検討する際は、上記の残額バランスをイメージしておくのがポイントです。

このように見てみると、5万円以下で入居できたとしても、国民年金だけではかなり厳しそうです。また、今後も続くであろうインフレによる値上げがあったら、5万円での入居継続は難しくなることでしょう。
5万円以下の施設タイプ別比較
実際に「5万円で老人ホームの入居」が不可能でも、それに近づける主な介護施設タイプと、そのメリット・デメリットをまとめました。
1. 軽費老人ホーム(ケアハウス)
・月5万円実現ポイント:公的補助の活用/居室面積の最小化
・メリット:要支援~軽度要介護まで幅広く受け入れ/入居金ゼロ
・デメリット:介護度が進むと別途訪問介護費用が発生/共有スペース利用が主体
ケアハウスとは、高齢者が安心して生活できる軽費(けいひ)老人ホームの一種です。自立して生活できるけれど、日常生活に少し手助けが必要な高齢者のための住まいです。また、月額費用は本人の所得に応じて減免されることが多く、年金生活者にも利用しやすい料金設計です。
▼5万円以下での入居のリアル:
・所得連動の減免や自治体助成を適用しても、最低でも約6万円前後が必要
・したがって 5万円以下に抑えるのは難しい、よってご家族のサポートが必要
2. 特別養護老人ホーム(特養)住宅型
・月5万円実現ポイント:自己負担限度額の活用/生活保護併用も可
・メリット:要介護3以上は優先入所/介護度に応じた補助が手厚い
・デメリット:申し込みから入所まで数年待ちのケースあり/居室スペースが狭め
▼ 減免・補助を活用した場合:
・住民税非課税世帯向けの「食費・居住費減免制度」を使うと、第1段階の負担額で約 6.5 万円/月に軽減可能
・生活保護受給世帯であればさらに自己負担ほぼ0円まで抑えられるケースあり
▼5万円以下での入居のリアル:
・一般的な利用者(生活保護以外)では 5万円以下に抑えるのはほぼ不可能
3. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・月5万円実現ポイント:食費・介護サービスを分離契約
・メリット:民間運営で各種オプション選択可/比較的最新の設備
・デメリット:介護サービス利用料は自己負担(別途月数万円)/保証金や敷金が必要
▼5万円以下での入居のリアル:
・自治体の家賃補助(例:東京都の最大4万円など)があっても、最低でも6万円前後が目安
・5万円以下は実質的に難しい

やはり現実的には、5万円以下での老人ホーム(介護施設)への入居は厳しいようです。預貯金の切り崩しや一定のご家族のサポートが必要になりそうです。
公的支援&補助金でさらにコストダウン
「5万円で老人ホームの入居」を本当に実現するためには、公的支援をフル活用しましょう。
1. 介護保険 利用による自己負担1~3割
ポイント:要介護度に応じてサービス費用が1~3割負担
費用例:要介護2で月額介護サービス利用料10万円の場合 ⇒ 自己負担2万円
2. 市区町村の家賃補助・高齢者支援プログラム
補助制度例:
高齢者専用賃貸住宅家賃補助(自治体によって上限5,000~20,000円/月)
地域包括支援センターによる福祉用具貸与料の一部免除
3. 生活保護活用の手続きと注意点
生活保護適用:住宅扶助+介護扶助で実質「老人ホーム 5万円以下」も可
注意点:受給申請には資産状況・収入状況の審査が必要
4. 高齢者向け優遇ローン・給付金
制度例:
介護リフォーム補助金(バリアフリー化工事)
高齢者向け住宅取得支援給付金
実例:5万円で入居したケーススタディ
ケースA:地方都市のケアハウスで家賃+管理費5万円
・施設:○○県△△市の軽費老人ホームA型
・費用内訳:居室使用料3万円+管理費2万円
・ポイント:介護保険を併用し、訪問介護費用を自己負担1割の2万円に抑制
ケースB:特養住宅型+生活保護利用で実質4万8千円
・施設:□□市特別養護老人ホーム
・費用内訳:住宅扶助・介護扶助を生活保護で全額カバー
・ポイント:「5万円で老人ホームの入居」の枠を超えず自己負担0円
ケースC:グループホーム+自治体補助で月5万円以内
・施設:××町地域密着型グループホーム
・費用内訳:家賃3万5千円+食費・管理費1万5千円
・ポイント:自治体の家賃補助1万円を適用

ここでクラウドワークスでの調査結果も一部紹介しておきます。
▼クラウドワークス調査概要と回答者(50名)
「月5万円以下で施設入居した体験」をテーマにクラウドワークスで自由コメントを募集。50代の会社員またはその家族50名から回答を得ました。
・男女比:男性60%・女性40%
・要介護度:要支援~要介護2が7割
・地域:地方都市55%・都市近郊30%・大都市15%
▼フリーコメント事例
・「自治体の補助金で月2万円引き、合計4万5千円で入居できました」
・「ケアマネ紹介で相部屋プランを直談判し、月4万8千円に」
・「土日だけショートステイを併用し、月5万円以内に抑えています」
具体的な工夫や交渉術が多く寄せられ、参考になります。
ご家族がチェックすべき選定ポイント
①立地・アクセス
・面会や緊急呼び出し時の通いやすさ
②介護度・サービス範囲
・要介護度が上がった際の追加費用
③契約形態の理解
・利用権方式(権利金なし) vs 資産方式(返戻金あり)
④緊急時対応・医療連携
・夜間・休日の対応体制
6. FAQ:よくある質問
Q1. 本当に「老人ホームの5万円」は可能ですか?
→ 要件は自治体やそれぞれ個別の介護施設(老人ホーム)によります。また5万円以下を実現するには、少なくとも公的支援の併用が前提になると思われます。
Q2. 敷金・礼金・保証金は別途かかる?
→ 軽費老人ホームは不要。サ高住・有料老人ホームは0円~数十万円の敷金が必要な場合みおあります。
Q3. 見学予約のコツ、または予約の断り方は?
→ 事前に見学日程の候補を複数提示すると調整がスムーズ。不安な場合はキャンセル期限を確認。
Q4. 電話やメールでの勧誘は多い?
→ 申込直後の連絡頻度は必然的に多い場合もあります。
まとめ:5万円で安心入居を実現するために
ポイントのおさらいをしておきましょう。
1.月額費用相場と年金受給額を比較
2.公的支援・自治体補助を最大活用
3.今後やるべき3ステップ
3-1.自治体窓口で家賃補助・生活保護の可否を確認
3-2.軽費・特養・グループホームの資料請求・見学予約
3-3.契約前に費用内訳とキャンセル条件を明確化
「5万円で老人ホームの入居」は決して絵空事ではありませんが、前提として諸条件が必要になり、それでもそのような介護施設を見つけるのは大変なことだと思われます。しかし、公的支援や施設の特性を理解し家計とバランスを取ることで、予算を抑えつつも安心して親を任せられる住まいを見つけましょう。
関連リンク
▽介護サービスについて理解する
▽介護について相談したい
▽仕事と介護の両立について知りたい