実家が誰も住まないまま、いつの間にか“空き家”になっていた…。そんな話、最近よく耳にしませんか?
親が施設に入ったり、または亡くなったあと、兄弟で実家の取り扱いについて話し合う時間が取れずにいつまでも先送り…。ふと気づいたときには、家の中がカビ臭くなり、庭には雑草が生い茂り、ご近所からも嫌味のように「最近誰も住んでないですよね?」と声をかけられるような状態に。
今、全国で空き家の数は急増しており、国土交通省の調査では全国に約849万戸以上あるとされています。そして、多くの人にとって“親の家が空いたまま”ということが日常になってしまっています。この問題先延ばし、無関心こそが、空き家問題の対応が進まないという深刻なものにしているのです。
この記事では、親の家が空き家になるまでのリアルなシナリオから、放置してしまった場合にどんな問題が起きるのか、そして“空き家を未来につなげる方法”まで、実際の声や具体例を交えてわかりやすく紹介します。
空き家問題が生まれる3つのリアルなシナリオ
親が施設や病院に入って家を空けたまま
介護や治療のため「しばらく不在」のつもりが、気づけば半年・1年。定期的な掃除もなく、郵便物は溜まり、庭には雑草が伸び放題…。環境は悪化し、自宅は“物置のよう”になってしまうことも少なくありません。「一時的に」と思っていても入居が長引いて、気づけば「空き家状態」になってしまうのです。

母が老健に移って半年。すぐに家に戻れると思っていたのですが、まだ先が見通せないんです。家がこのまま放置されて少しづつ朽ちていくような気がして…。

その一時的な不在が、空き家化の最大の原因なんです。実際、施設入居後1年以内に自治体からの注意が入るケースもありますよ。
相続したけれど誰も住まずに手つかずの状態に
ある会社員の方が実家を相続したらしく、その方からこんな話しを聞きました。『親から相続した実家。土日の休みに様子を見に行こうと思いつつも、足は遠のいたまま。「いつか何とかしよう」と思いながらも保留されたまま数年。先日おそるおそる実家を訪れると、室内は埃が立ち、カビが生え、雨漏りすら放置されていました。カビは天井、壁、そして床にも広がり、雨戸もレールにゴミがたまっているのか開けるのもやっとのこと。思わず土足で家に入りましたが、それさえも躊躇しました。』このようなケースは例外ではなく、同じような事例をよく耳にします。
兄弟で相談が進まず、放置されてしまっている
だれも住まなくなった実家。「誰が住むの?」「誰が管理するの?」兄弟間で結論が出ないまま時が経過。誰も手を出せないことで、家が徐々に荒れていき、空き家としてのリスクが増していきます。「売る」「貸す」「残す」、いろいろ意見はあっても決まらない。管理するための費用も不透明で、その結果、誰も動けずです。

うちの実家も、母が施設に入ってからずっと空き家なんだよね。兄弟で話していても、最後には「もうしばらく様子をみて処理するかどうかを判断しよう」で終わってしまいます。おそらく状況は悪くなる一方だと思うのですが。

これ、よくあるケースですね。半年以上誰も住んでいない家は、実質的に空き家と見なされてもおかしくないんですよ。
空き家が放置されるとどうなる?生活者目線で見る3つの困りごと
1)防犯・景観の悪化による不安
長期間人が住まない家は窓や戸締まりが緩み、侵入者や不審者の拠点になりやすいです。また、外壁や屋根の劣化で見た目も荒れ、地域の景観が損なわれます。子どもや高齢者の通学・通勤路でも危険を感じるケースが増えています。

空き家があると、地域全体の安心感が揺らぎます。夜間に不審な物音や光が見られると、近隣の方も眠れなくなることがありますよね。

僕も通勤途中で古い家の前を通るとき、いつも心配になります。もし倒壊したら大怪我しかねないと。ここは小学生の通学路が近いので放っておけない問題です。
2)ごみや放置物の増加で衛生リスク
空き家の敷地内や周辺に不法投棄されたごみが蓄積すると、害虫やネズミの温床になり衛生環境が悪化します。特に梅雨の時期はカビや悪臭も発生しやすく、隣接する住宅へ影響が及ぶこともあります。

ゴミが積まれると、害虫対策が必要になり、大家さんや自治体にも負担が増えます。放置される前に早めの対応が求められます。

子どもが遊びに行く公園の近くにごみ集積所みたいになっていて、親としても衛生面で心配です。地域みんなで対策しないといけませんね。
3)地価・資産価値の低下と地域活力の停滞
周辺に多くの空き家があると、地価の下落を招くことがあります。住民の入れ替わりが減り、商店街や公共施設の利用者も減少。結果的に地域全体の活力が失われ、さらに空き家が増える負のスパイラルに陥ります。

地域活性化のためには、空き家をリノベーションしたコミュニティスペースづくりなども有効ですが、まずは正確な空き家情報の管理が必要になります。
管理の手間と心理的なストレス(片付けられない罪悪感)

「片付けなきゃ…」と思いながらも行動できず、罪悪感が積み重なることも少なくありません。ちなみに実家のポストにチラシがたまりすぎて、近所のおばちゃんに「なんとかして」って言われたことあるよ…。

あるあるですね。草むしりや郵便物の管理は、近所への印象に大きく影響します。
空き家がそのまま放置されると、周辺住民や地域社会にさまざまな影響を及ぼします。老朽化による倒壊リスクや防犯意識の低下、ごみの不法投棄など、普段の生活の中で見過ごしがちな困りごとを深掘りしてみましょう。
空き家を“放置しない”ためにできる3つのこと
空き家問題は、早期の対策と地域全体の協力で大きく改善できます。ここでは、所有者だけでなく自治体や専門業者、地域住民も巻き込んで実践できる具体的な3つのアクションを紹介します。
自治体や専門業者の相談窓口を活用する
各自治体には空き家活用や解体、補助金に関する専門窓口が設置されています。所有者が抱える法的・税務的な不安や手続き上の負担を軽減し、最適なプランを提案してもらうことで、スムーズな対応が可能になります。

専門家の目線で課題を洗い出すと、自分では気づかなかった活用アイデアや補助金の活用方法が分かります。初めての方はまず相談がおすすめです。

僕も相談窓口で解体費用の補助制度を教えてもらい、家計の負担が大幅に軽減されました。頼れる存在ですね。
近隣住民と連携した定期的な見守り・手入れ活動を行う
地域のコミュニティで空き家見守り隊を組織し、定期的な外観チェックや草刈り、簡易補修を行いましょう。小さな手入れが劣化を防ぎ、防犯抑止にもつながります。

地域の協力で取り組むことで、空き家の劣化を防ぐだけでなく、住民同士の絆も強まります。日常的な見守りが安心感を生みますよ。

うちの場合は、月に数回、子どもたちと一緒に庭の草むしりをするのですが、たしかに驚くほど景観が良くなりますね。夏は本当に大変なんですが、みんなで協力する楽しさもありますので、休日になんとか頑張っています。
賃貸活用・リノベーション・売却など多様な手段を検討する
空き家を長期間放置せず、賃貸住宅やシェアオフィス、宿泊施設などへのリノベーションを検討するほか、市場動向を見ながら売却や土地活用に踏み切ることも重要です。複数の選択肢を比較し、最適な方法を選びましょう。

多様な活用方法を選択肢に入れることで、資産を有効活用しつつ地域活性化にも貢献できます。将来を見据えた計画づくりが鍵です。最初は面倒ですし取っつきにくいでしょうが、少しづつ頑張ってみてください。
実際にあった空き家の成功事例
ここでは、実際に空き家を有効活用し、地域や所有者にメリットをもたらした具体的な事例を紹介します。特に地方の厳しい条件下でも工夫して成功したリアルなケースをピックアップしました。

なかなかすべての空き家でこんなにうまくいくわけではないですが、あくまで参考にしてみてください。
山間部の古民家を農宿兼ワークショップ場に
地方の山あいにある築80年の古民家を改修し、有機農業体験と農家民宿を組み合わせた『農宿(ノウシュク)』に再生。地元食材を使った料理教室や季節ごとの収穫体験を提供し、都市部からの家族連れに好評。冬季は薪ストーブイベントで集客。

地元の農家と連携し、体験プログラムを作ったことで、観光と農業の両輪で地域に利益を生み出しています。

子どもたちと一緒に収穫体験に参加しましたが、自然の中で学ぶ楽しさを実感でき、とても良い思い出になりました。
過疎地の空き店舗を移住相談センターに活用
人口減少が進む山村の旧商店を移住希望者向けの『移住・定住相談センター』として再出発。地元NPOが運営し、空き家見学や地域おこし協力隊のマッチングも実施。相談者数は前年比200%増。

地域課題の解決と空き家活用を同時に進め、移住促進のモデルケースになっています。
沿岸部の古民家を地域交流カフェに改装
漁村にある古い民家を改装し、海産物直売所併設の『漁村カフェ』を開業。漁師がその日に水揚げした魚介を使ったランチが人気で、観光客だけでなく地元住民の交流拠点に。

地元産品を生かしたビジネスモデルで、収益性と地域愛着を高めています。地元のおじいちゃんたちと魚の話をしながら食事できるのが、子どもにとっても貴重な体験になりそうです。
よくある質問(FAQ)
空き家の掃除ってどれくらいの頻度が必要?
月に1回程度の通風・掃除・確認が理想です。
空き家のままでも税金がかかる?
はい、固定資産税はかかります(詳細は自治体に確認を)。
管理をプロに頼むと費用はどれくらい?
月額1〜2万円程度が相場です(内容により変動)。
空き家ってどれくらいで近所から苦情が来る?
半年〜1年で目立つようになり、草木・郵便物などが原因で苦情が来ることも。
地方の実家、年1回の帰省では足りない?
管理としては不十分です。代行や親戚・近所の協力を検討しましょう。
まとめ
空き家は、動かなければ問題化します。でも、家族で共有したり、地域と関わったり、外部サービスを使ったりすることで、新たな選択肢にもなりますので、この記事を参考にして、何かしらのヒントをつかんでいただければと願います。今や空き家は社会問題として捉えるべき大きな問題になっています。まずはみなさん一人ひとりの意識改革が必要なのです。みなさんの諸事情も理解できますが、少しだけでも空き家になっている実家について考えを巡らせてみましょう。

空き家を空き家として放置するのではなく、空き家を“活かす”っていう発想が、これからの時代には必要かもしれませんね。

うん、私も今まで何とかしないといけないと分かっていながらも放置してしまっていたので、さっそく兄弟にも話してみようと思います。まずは少しでも空き家になっている実家に目を向けてみようと思います。