毎日の業務に追われる中、親の介護相談をどう始めればいいか悩んでいませんか?
「どこに連絡すれば」「誰に相談すれば」「何を準備すれば」「会社には相談しづらい」等など。こうした不安が、あなたの一歩を止めているかもしれません。
本記事では、限られたスキマ時間を有効活用しつつ、夜間や土日も使える窓口選びから、相談前のチェックリスト、当日の進め方、そしてアフターケアまでを、40〜50代の働く会社員目線で丁寧にナビゲートします。

介護の多くは突然直面するものです。そんな時は早めの専門家への相談が、介護負担を軽減する第一歩になりますので、まずは相談先について勉強してみてください。
介護相談の一例

わたしの義母が最近物忘れが多くなってるようです。今でもキッチンで

はい、もちろんです。介護に関するいろいろな悩みに対して、
①家族の様子が変わり心配
②けがや病気が原因で生活が一変
③介護者自身の負担が限界に近い
相談先を7つの視点で徹底比較

仕事終わりに電話したいのですが、夜間に対応をしてくれるところはありますか?

ちなみに、ALSOKあんしんケアサポートは24時間365日対応で、
介護相談窓口センターと地域包括支援センター

じつは「介護相談」と検索した人の多くが、一緒に検索しているのが「介護相談窓口センター」と「地域包括支援センター」のようです。ここでこれらの簡単な説明をしてみます。
介護相談窓口センターは、高齢者やそのご家族が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、介護保険サービスだけでなく、医療・福祉・健康全般の相談をまとめて受け付ける総合窓口です。具体例としては「地域包括支援センター」や「高齢者相談センター」などが該当します。
地域包括支援センターの利用方法
①窓口の場所を確認:お住まいの市区町村役所ウェブサイトや広報誌で「地域包括支援センター」の所在地・連絡先をチェック。
②電話で予約:まずは電話で「相談したい」と伝え、希望日時を調整します。空きがあれば当日の飛び込み相談も可能な場合があります。
③必要書類を準備:健康保険証、要介護・要支援認定証の写し(お持ちであれば)。また家族構成や相談したい内容をメモにまとめておくとスムーズです。
④当日窓口で相談:面談ブースでケアマネジャーや保健師がヒアリング。必要に応じて訪問調査や他サービスの紹介まで手配してくれます。
⑤フォローアップ:相談後、サービス利用開始に向けた書類手続きや、数週間後の経過確認を電話や訪問でフォローしてくれます。
高齢者相談センターの利用方法
①問い合わせ先を確認:「高齢者相談センター」は名前が市区町村によって異なる場合もあるため、役所の福祉課窓口に電話して案内を受けましょう。
②予約または飛び込み相談:多くは予約制ですが、歩いて行って相談できるケースも。電話で事前に確認すると安心です。
③相談内容の整理:介護保険サービスの利用手順、医療・福祉制度の活用方法、地域のサポート体制 …など
④当日面談:社会福祉士や保健師が、複数の相談テーマを一度にヒアリング。必要に応じて地域内の専門機関を紹介してくれます。
⑤アフターフォロー:専門機関への橋渡しや、その後の状況確認を電話・訪問で行い、安心して暮らせる体制づくりをサポートします。

これら2つの窓口は、いずれも無料で利用でき、介護保険から医療・福祉まで幅広く相談に乗ってくれます。初めての方はまず電話予約をして、気になることをまとめておくと安心です。
なぜ会社の上司や人事に相談しづらいのか

子育てと違って、なぜか介護のことは会社に相談しづらいのです。
仕事と介護を両立するためには社内制度の活用が欠かせませんが、相談には次のような心理的・制度的ハードルがあります。会社に介護の相談をする人の割合は10%にも満たないというデータもあるのです。それではなぜそのようになるのかを紐解いてみましょう。
①会社側の理解不足:上司や人事が介護の実態を十分に理解しておらず、「休み過多にならないか」という懸念を持ちやすい。
②自分が感じてしまう罪悪感:同僚へ負担をかけたくない気持ちから、本音を話しにくい。
③制度の壁:介護休業法・看護休暇制度はあるものの、社内規程に落とし込まれていない場合がある。

「どの部署に申請すればいいのか」「誰に相談すればいいのか」がわからず、アクションが先延ばしに。こうしたハードルを一つずつクリアしていくために、次章で具体的な社内制度活用法を紹介します
知っておきたい2025年育児・介護休業法改正
ここが変わった、育児・介護休業法
①誰でも使える介護休暇になった!
・以前は「継続雇用6か月未満」の人が除外対象でしたが、今改正でほぼ全員が対象に。
・入社したばかりでも、親や配偶者の介護が必要になったらすぐ申請できます。
②“通算93日”の休業が分割して取れる
・要介護家族1名あたり通算93日間の介護休業が取得可能。
・「しばらくまとまった休みが必要」「短い休暇を何度か取りたい」どちらもOK。
③会社に言いづらくても大丈夫!相談窓口の設置義務化
・会社は必ず相談窓口を設置し、制度概要や手続きフローを教えてくれる体制を整備。
・「誰に何を相談すればいいか」が分かるので、まずは相談窓口へ連絡を。
④個別周知&意向確認で不安を減らす
・「介護が必要になりそう」と申告したら、会社から介護休業や給付金の情報が個別に案内されます。
・面談やメールで自分の希望を確認してもらえるので、遠慮なく不安や疑問を伝えましょう。
⑤40歳での先行案内で備えられる
・40歳になると、介護休業制度の説明を会社から必ず受けられます。
・まだ介護の予定がなくても、制度を知っておけば急な事態にも落ち着いて対応できます。
⑥テレワーク利用も“努力義務”に
・要介護家族がいる場合、テレワークを希望しやすい環境作りが会社の責任に。
・「出社が難しい」「もう1日家でケアしたい」というときは、遠慮せず上司に相談してみてください。

改正で“使いやすさ”が大幅アップ。まずは社内の相談窓口をチェックして、自分の権利をしっかり活用しましょう!
まず整理しましょう、3つのこと
相談前に最低限そろえておきたい情報を、優先順位付きで整理しましょう。
①要介護度・認定結果
・直近の認定結果と要介護度の更新予定
②家族構成・これまでの介護状況
・同居有無、支援者・支援頻度の実績
③相談で解決したいこと
・在宅継続/施設検討/認知症ケアの強化 など
これらを手元にまとめると、相談時間を最大限に活用でき、的確なアドバイスが得られやすくなります。

メモはスマホのメモアプリにまとめると、相談先でスマホ一つで確認できます。『一番聞きたいこと』には赤字や★印をつけておくのがおすすめです。
5つのケーススタディ紹介
◆ケース①:夜も眠れないほど不安だったAさん(49歳・営業職)
・対応:夜間対応のALSOKあんしんケアサポートに深夜に連絡。「父の行動パターン」と「緊急連絡フロー」を具体的にアドバイスしてもらい、一晩中駆け回る心配が減る。
・効果:アドバイスをメモし、実際に夜間の見守りサービスを翌日手配。寝不足が解消し、仕事での集中力も徐々に戻る。
◆ケース②:週末しか時間が取れないBさん(53歳・システムエンジニア)
◆ケース③:職場に言い出せなかったCさん(47歳・製造業マネージャー)
・対応:社内EAP(社員支援プログラム)で匿名相談。「通算93日の介護休業」「有給扱いの看護休暇」など、使える制度を具体的に教えてもらい、自信を持って人事面談へ。
・効果:面談では制度名と必要日数を示して申請、上司も納得。休業後も時短勤務で両立でき、職場への申し訳なさが徐々に解消。
◆ケース④:急な転倒でパニックになったDさん(55歳・IT企業勤務)
・対応:土日対応の「高齢者いつでも安心電話相談」に朝一で電話。保健師から「緊急時の受診手順」と「短期入所サービス」を即時に紹介され、不安が軽減。
・効果:休日中にケアプランが明確化、日曜夜には訪問型緊急サービスがスタート。Dさんは「家族を守る自信が持てた」と笑顔を取り戻す
◆ケース⑤:テレワークを活用しながら介護と仕事を両立したEさん(42歳・広報)
・対応:改正介護休業法と社内テレワーク制度を確認し、週3日の在宅勤務を正式に申請。オンライン介護相談と地域包括支援センターの併用で、日中のケアと仕事時間を調整。
・効果:母のケア時間を確保しつつ、オフィスに出社する日は集中して業務をこなせるように。心身のストレスが軽減し、業務パフォーマンスも向上。
まとめ&次にすべきアクション
3. 社内制度を活用 → 介護休業法・EAPの具体的手順
4. 事前準備で相談時間を最大化 → チェックリスト&PDF
5. 当日はシミュレーション通りに進行 → ヒアリング→提案→フォロー
6. ケーススタディで具体的イメージ → 数字と期間を明示
7. 夜間・土日対応サービスを活用 → 365日窓口を確保
8. 時間管理&セルフケア → フレックス/オンライン/メンタルケア
介護相談は“早めに、そして具体的に”。まずは小さな一歩を踏み出し、安心できるサポート体制を整えましょう!
おまけ:転職相談はだれにする?
介護の悩みがどうしても解決できずに、仕事にも影響が影響が出てしまうケースもあります。今の仕事を続けることが難しくなり、介護離職をしてしまう人も見受けられます。「時短勤務ができれば」「在宅勤務の回数がもう少し多ければ」といったような、もう少し環境が変われば仕事が続けられるのにといった悩みもあるようです。そんなときに転職相談すべき相手は誰なのか。転職支援をしてきた私が転職相談は誰にすべきかを別記事で解説していますので、ぜひご参照ください。
【プロが解説】転職相談はだれにする 転職相談はだれにすべき?
【著者情報】くまさん(介護と転職のアドバイザー)
年齢 | 在籍期間 | 在籍企業 |
---|---|---|
22~34歳 | 10年 | 金融機関勤務(大手銀行、米系証券会社) |
35~45歳 | 10年 | 大手転職エージェント |
45~50歳 | 5年 | 介護系ベンチャー企業 |
50歳~ | 5年以上 | 独立して介護と仕事のコンサルタント |
年 | 主な出来事 | |
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1970年 | 0歳 | 神奈川県横浜市に生まれる。 |
1992年 | 22歳 | 大学卒業後、みずほ銀行に入行(法人営業担当)。 |
2000年 | 30歳 | 米系証券会社に転職し、主に債券を扱うトレーダーを行う。 |
2005年 | 35歳 | 大手転職エージェントにキャリアチェンジ(ミドル層の転職支援)。広告やプロモーション全部門の責任者となる。またキャリアアドバイザーとしての経験もあり、求職者のお気持ちに寄り添うカウンセリングを得意とした。 |
2015年 | 45歳 | IPO直前の介護ベンチャー企業に転職し、介護事業者の収益改善コンサルティングに従事。特養、訪問介護、通所介護、または有料老人ホームの経営や人事コンサルタント業務を行う。また、一般ユーザー向けには介護の相談窓口サービスを提供し、とくに仕事と介護の両立に悩む会社員をサポートしてきた。 |
2020年 | 50歳 | 独立し「Dr.介護と仕事のアドバイザー」として企業制度設計や講演、情報発信を開始。その流れで本ブログを執筆中。現在に至る。 |
No. | 得意分野 |
---|---|
1 | 介護と仕事の両立支援(一般ユーザー向け) |
2 | ミドル・シニア層(30代~50代)のキャリア再構築・転職支援(一般ユーザー向け) |
3 | 介護人材の採用・定着(介護事業者向け) |
4 | 介護事業者の経営支援(介護事業者向け) |
5 | ダイバーシティ経営(介護離職防止)(介護事業者向け) |
6 | 施設(老人ホーム)選びのアドバイス(一般ユーザー向け) |
7 | 50代以降のキャリア再デザイン(一般ユーザー向け) |