7つの視点
介護相談窓口は「どこに連絡すればいいのか」が一番のハードル。以下の7つの視点で比較しながら、具体的に利用できる代表サービスを紹介します。
①対応時間帯
・平日9~17時:地域包括支援センター(市区町村の福祉窓口)
・夜間・24時間:ALSOKあんしんケアサポート(電話対応)
・土日9~18時:LIFULL介護オンライン相談(チャット・電話)
②費用・料金体系
・完全無料:市区町村窓口/高齢者いつでも安心電話相談
・要企業契約で無料:ALSOKあんしんケアサポート(企業契約者向け)
・有料(月額3,000円~):オンライン介護相談プラットフォーム各社
③専門性
・ケアマネジャー対応:地域包括支援センター/みんなの介護電話相談
・看護師対応:ALSOKあんしんケアサポート
・保健師、社会福祉士対応:高齢者いつでも安心電話相談
④フォロー体制
・単発相談:LIFULL介護/みんなの介護(電話・チャット)
・継続支援:ALSOKあんしんケアサポート/自治体の訪問型支援
⑤オンライン対応可否
・電話のみ:市区町村窓口/高齢者いつでも安心電話相談
・電話+チャット:LIFULL介護オンライン相談
・ビデオ面談:オンライン介護相談プラットフォーム
⑥サービス網の広さ
・全国対応:ALSOKあんしんケアサポート/主要オンラインプラットフォーム
・地域限定:地域包括支援センター(お住まいの市区町村)
⑦利用者満足度・口コミ
・みんなの介護:★4.2/5(利用者アンケート)
・LIFULL介護:★4.0/5(ユーザー評価)
・ALSOKあんしんケアサポート:企業契約者の声多数
この比較をもとに、自分の生活スタイルや必要とするサポートに合わせて窓口を選ぶ
くまさん(介護と転職アドバイザー)
介護の相談窓口は、行政機関から民間サービスまで多岐にわたります。それぞれの特徴を理解して、状況に合った窓口を利用しましょう。
行政の相談窓口
①市区町村窓口
介護認定申請をはじめ、介護保険サービスの利用相談が可能。生活保護が必要な場合も相談できます。
②地域包括支援センター
高齢者に関する総合的な相談窓口。中学校区単位で設置されており、介護保険の申請代行や生活全般の相談が可能です。
③社会福祉協議会
金銭管理や福祉サービス全般の支援を提供。特に「日常生活自立支援事業」を通じて、福祉サービス利用手続きのサポートが受けられます。
民間の相談窓口
①老人ホーム紹介センター
老人ホームを探している場合に最適。全国に数百あり、各施設の特徴や費用、入居条件について詳細な情報が得られます。
・フリーダイヤル:0120-17-1062
・受付:9:00~18:00(土日祝休)
・入居施設の特徴・費用・手続きが無料で比較できます。
②介護施設検索サイト
オンラインや電話で手軽に介護の相談(特に老人ホーム探し)ができる点が魅力。忙しいビジネスケアラーにおすすめです。
▼みんなの介護
・電話:0120-948-922
・受付:9:00~18:00(年末年始除く)
・オンライン・電話で忙しいビジネスケアラーにも手軽に相談可能
▼LIFULL 介護
・電話:0120-948-230(無料)
・受付:平日 9:00~19:00/土日祝 9:00~18:00
・時間外は24時間 自動応答で受付
その他の相談先
①居宅介護支援事業所
担当ケアマネジャーが、介護サービスの調整や施設入所の相談に対応します。
②医療機関の相談室
入院中の介護相談に対応。退院後の生活を見据えたアドバイスが受けられます。
早めに電話やメールで相談予約を行いましょう。各窓口で資料請求や面談予約ができるほか、オンライン相談を実施しているところもありますので、ご自身の都合に合わせてご利用ください。
介護相談窓口センターと地域包括支援センター
くまさん(介護と転職アドバイザー)
じつは「介護相談」と検索した人の多くが、一緒に検索しているのが「介護相談窓口センター」と「地域包括支援センター」のようです。ここでこれらの簡単な説明をしてみます。
介護相談窓口センターは、高齢者やそのご家族が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、介護保険サービスだけでなく、医療・福祉・健康全般の相談をまとめて受け付ける総合窓口です。具体例としては「地域包括支援センター」や「高齢者相談センター」などが該当します。
地域包括支援センターの利用方法
①窓口の場所を確認:お住まいの市区町村役所ウェブサイトや広報誌で「地域包括支援センター」の所在地・連絡先をチェック。
②電話で予約:まずは電話で「相談したい」と伝え、希望日時を調整します。空きがあれば当日の飛び込み相談も可能な場合があります。
③必要書類を準備:健康保険証、要介護・要支援認定証の写し(お持ちであれば)。また家族構成や相談したい内容をメモにまとめておくとスムーズです。
④当日窓口で相談:面談ブースでケアマネジャーや保健師がヒアリング。必要に応じて訪問調査や他サービスの紹介まで手配してくれます。
⑤フォローアップ:相談後、サービス利用開始に向けた書類手続きや、数週間後の経過確認を電話や訪問でフォローしてくれます。
高齢者相談センターの利用方法
①問い合わせ先を確認:「高齢者相談センター」は名前が市区町村によって異なる場合もあるため、役所の福祉課窓口に電話して案内を受けましょう。
②予約または飛び込み相談:多くは予約制ですが、歩いて行って相談できるケースも。電話で事前に確認すると安心です。
③相談内容の整理:介護保険サービスの利用手順、医療・福祉制度の活用方法、地域のサポート体制 …など
④当日面談:社会福祉士や保健師が、複数の相談テーマを一度にヒアリング。必要に応じて地域内の専門機関を紹介してくれます。
⑤アフターフォロー:専門機関への橋渡しや、その後の状況確認を電話・訪問で行い、安心して暮らせる体制づくりをサポートします。
くまさん(介護と転職アドバイザー)
これら2つの窓口は、いずれも無料で利用でき、介護保険から医療・福祉まで幅広く相談に乗ってくれます。初めての方はまず電話予約をして、気になることをまとめておくと安心です。
なぜ会社の上司や人事に相談しづらいのか
ママ美さん(40代会社員)
子育てと違って、なぜか介護のことは会社に相談しづらいのです。
仕事と介護を両立するためには社内制度の活用が欠かせませんが、相談には次のような心理的・制度的ハードルがあります。会社に介護の相談をする人の割合は10%にも満たないというデータもあるのです。それではなぜそのようになるのかを紐解いてみましょう。
①会社側の理解不足:上司や人事が介護の実態を十分に理解しておらず、「休み過多にならないか」という懸念を持ちやすい。
②自分が感じてしまう罪悪感:同僚へ負担をかけたくない気持ちから、本音を話しにくい。
③制度の壁:介護休業法・看護休暇制度はあるものの、社内規程に落とし込まれていない場合がある。
くまさん(介護と転職アドバイザー)
「どの部署に申請すればいいのか」「誰に相談すればいいのか」がわからず、アクションが先延ばしに。こうしたハードルを一つずつクリアしていくために、次章で具体的な社内制度活用法を紹介します
知っておきたい2025年育児・介護休業法改正
ここが変わった、育児・介護休業法
①誰でも使える介護休暇になった!
・以前は「継続雇用6か月未満」の人が除外対象でしたが、今改正でほぼ全員が対象に。
・入社したばかりでも、親や配偶者の介護が必要になったらすぐ申請できます。
②“通算93日”の休業が分割して取れる
・要介護家族1名あたり通算93日間の介護休業が取得可能。
・「しばらくまとまった休みが必要」「短い休暇を何度か取りたい」どちらもOK。
③会社に言いづらくても大丈夫!相談窓口の設置義務化
・会社は必ず相談窓口を設置し、制度概要や手続きフローを教えてくれる体制を整備。
・「誰に何を相談すればいいか」が分かるので、まずは相談窓口へ連絡を。
④個別周知&意向確認で不安を減らす
・「介護が必要になりそう」と申告したら、会社から介護休業や給付金の情報が個別に案内されます。
・面談やメールで自分の希望を確認してもらえるので、遠慮なく不安や疑問を伝えましょう。
⑤40歳での先行案内で備えられる
・40歳になると、介護休業制度の説明を会社から必ず受けられます。
・まだ介護の予定がなくても、制度を知っておけば急な事態にも落ち着いて対応できます。
⑥テレワーク利用も“努力義務”に
・要介護家族がいる場合、テレワークを希望しやすい環境作りが会社の責任に。
・「出社が難しい」「もう1日家でケアしたい」というときは、遠慮せず上司に相談してみてください。
くまさん(介護と転職アドバイザー)
改正で“使いやすさ”が大幅アップ。まずは社内の相談窓口をチェックして、自分の権利をしっかり活用しましょう!
まず整理しましょう、3つのこと
相談前に最低限そろえておきたい情報を、優先順位付きで整理しましょう。
①要介護度・認定結果
・直近の認定結果と要介護度の更新予定
②家族構成・これまでの介護状況
・同居有無、支援者・支援頻度の実績
③相談で解決したいこと
・在宅継続/施設検討/認知症ケアの強化 など
これらを手元にまとめると、相談時間を最大限に活用でき、的確なアドバイスが得られやすくなります。
くまさん(介護と転職アドバイザー)
メモはスマホのメモアプリにまとめると、相談先でスマホ一つで確認できます。『一番聞きたいこと』には赤字や★印をつけておくのがおすすめです。
5つのケーススタディ紹介
◆ケース①:夜も眠れないほど不安だったAさん(49歳・営業職)
・背景と気持ち:65歳の父が軽度認知症と診断され、「突然の異変がまた起きたら…」と夜も眠れない日々。平日は日中ほとんど席を外せず、情報収集の余裕がない
・対応:夜間対応のALSOKあんしんケアサポートに深夜に連絡。「父の行動パターン」と「緊急連絡フロー」を具体的にアドバイスしてもらい、一晩中駆け回る心配が減る。
・効果:アドバイスをメモし、実際に夜間の見守りサービスを翌日手配。寝不足が解消し、仕事での集中力も徐々に戻る。
◆ケース②:週末しか時間が取れないBさん(53歳・システムエンジニア)
・背景と気持ち:週5出張の多忙なスケジュールで、平日昼間は全く相談窓口に行けない。母の生活環境を整えたいが、何から始めたらいいか手探り状態。
・対応:LIFULL介護オンライン相談で「週末Zoom面談」を予約。専門ケアマネが「地域包括支援センターとの橋渡し」と「必要書類リスト」をまとめて説明。
・効果:週末に一度で手続きを理解でき、母の訪問介護も翌週からスムーズにスタート。母から「安心して過ごせるようになった」と報告があり、Bさんも心の負担が軽減。
◆ケース③:職場に言い出せなかったCさん(47歳・製造業マネージャー)
・背景と気持ち:要介護認定を受けた妻をサポートしたいが、上司に「休みすぎる」と思われるのが怖くて相談できずにいた。心の中で「会社を裏切っているのでは」と自責の念
・対応:社内EAP(社員支援プログラム)で匿名相談。「通算93日の介護休業」「有給扱いの看護休暇」など、使える制度を具体的に教えてもらい、自信を持って人事面談へ。
・効果:面談では制度名と必要日数を示して申請、上司も納得。休業後も時短勤務で両立でき、職場への申し訳なさが徐々に解消。
◆ケース④:急な転倒でパニックになったDさん(55歳・IT企業勤務)
・背景と気持ち休日に父が自宅で転倒。病院の手配やケア情報をすぐに知りたかったが、平日窓口は閉まっている。「家族を守れなかった」と自己嫌悪が強かった
・対応:土日対応の「高齢者いつでも安心電話相談」に朝一で電話。保健師から「緊急時の受診手順」と「短期入所サービス」を即時に紹介され、不安が軽減。
・効果:休日中にケアプランが明確化、日曜夜には訪問型緊急サービスがスタート。Dさんは「家族を守る自信が持てた」と笑顔を取り戻す
◆ケース⑤:テレワークを活用しながら介護と仕事を両立したEさん(42歳・広報)
・背景と気持ち:同居する母の認知症ケアが必要だが、通勤時間が長く、在宅ケアの時間が取れない。「仕事を休むか、母を施設に入れるか…」と葛藤。
・対応:改正介護休業法と社内テレワーク制度を確認し、週3日の在宅勤務を正式に申請。オンライン介護相談と地域包括支援センターの併用で、日中のケアと仕事時間を調整。
・効果:母のケア時間を確保しつつ、オフィスに出社する日は集中して業務をこなせるように。心身のストレスが軽減し、業務パフォーマンスも向上。
まとめ&次にすべきアクション
1. 初動の不安を解消 → 電話1本、オンライン窓口へ
2. 窓口比較で最適解を選択 → 7つの基準で絞り込み
3. 社内制度を活用 → 介護休業法・EAPの具体的手順
4. 事前準備で相談時間を最大化 → チェックリスト&PDF
5. 当日はシミュレーション通りに進行 → ヒアリング→提案→フォロー
6. ケーススタディで具体的イメージ → 数字と期間を明示
7. 夜間・土日対応サービスを活用 → 365日窓口を確保
8. 時間管理&セルフケア → フレックス/オンライン/メンタルケア
くまさん(介護と転職アドバイザー)
介護相談は“早めに、そして具体的に”。まずは小さな一歩を踏み出し、安心できるサポート体制を整えましょう!