現役で大学に合格して、留年もしないでストレートに卒業して就職。
そうすると22歳から定年の65歳(または60歳)まで、約40年間近い会社員生活を送る事になります。
かつては終身雇用が当たり前の時代でしたが、今では転職が当たり前になっています。
長い会社員生活、ひとつの会社でキャリアを築くのか、それとも転職をしながらキャリアを築くのか。
今後の私たちの会社選びはどのようになって行くのしょう。
転職者の推移について
2000年以降の転職市場。
ここ20年間の市場の動きとして、2019年の転職者数は351万人となり、比較可能な2002年以降で過去最多。
2000年代には2006年~2007年がともに346万人のピークとなった後、2008年のリーマン・ショックにより2010年にかけて転職者数は大きく減少しました。
2010年には約280万人強まで転職者数は減少しましたが、その後約10年を掛けて2008・2009年の水準を超すようになりました。
Dr.転職アドバイザー
続いて転職理由の推移について見てみましょう。
2002年以降、転職理由の第1位は「より良い条件の仕事を探すため」となっています。
また第2位は長い間「会社都合」でしたが、ここ数年「定年又は雇用契約の満了」が第2位となっています。
「より良い条件の仕事を探すため」と「会社都合」の両者の推移を見てみますと、リーマンショックをキッカケに数値が急接近しています。
「より良い条件の仕事を探すため」の人数は激減し、「会社都合」は急増しています。
つまりみなさんの転職は、みなさんの実力だけでなく経済環境に大きく左右されてしまうのです。
注意すべきポイント
条件が合わずにキャリアダウンになる可能性もあるので注意です!
転職市場の変遷について
40年にもおよぶ長い会社員生活。
かつての日本では「終身雇用」が当たり前の時代でした。
多くの会社員は、真面目に働けば毎年給与は上がり続けるし、定年まで仕事があります。
Dr.転職アドバイザー
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バブル崩壊に伴う「リストラ」をキッカケに、それまであり得なかった「解雇」により、はじめて会社員に危機意識が芽生えます。
Dr.転職アドバイザー
そしてバブル経済の崩壊によって、各社の採用の主な手段であった「新卒採用」を長年ストップします。
しかししばらくして景気が反転して回復基調になると、今度は各社で人手不足になり始めます。
それにより、今まで中途採用をしていなかった会社が、新卒採用だけでなく中途採用をスタートしたのでした。
かつては転職が悪と言われた時代もありましたが、今では転職は誰にでもあり得る当たり前の事となっています。
1990年以降のバブル経済の崩壊、そして経済の回復によって、転職に対する「日本企業」および「日本人」の考え方が劇的に変化をしたのです。
日本株式会社の底力
かつての日本では終身雇用という言葉があり、就職した会社で定年まで働き続けるのが普通の時代がありました。
そしてこの「終身雇用」を実現出来ていた理由に、日本の会社の底力があると思います。
40年に渡る会社員生活を終身雇用をするためには、雇用をしている会社自体が存続し続けなければなりません。
そこで国別で、創業100年以上の企業数のランキングを見てみましょう。
順位 | 国 | 企業数 |
---|---|---|
1位 | 日本 | 33,076 |
2位 | アメリカ | 19,497 |
3位 | スウェーデン | 13,997 |
4位 | ドイツ | 4,947 |
5位 | イギリス | 1,861 |
6位 | イタリア | 935 |
7位 | オーストリア | 630 |
8位 | カナダ | 519 |
9位 | オランダ | 448 |
10位 | フィンランド | 428 |
日本が圧倒的に「創業100年以上の企業数」では第1位となっています。
このような事実があって、日本では終身雇用が実現出来ていたのでしょう。
場所は大阪の天王寺区。
578年に四天王寺建立のため、会社を設立。
聖徳太子(!)から招聘された百済人、金剛重光が設立したと言われています。
578年の創業ですので、実に創業1400年以上となります。
しかし状況は変化して来ています。
最近では、日本を代表する会社「トヨタ」の社長が以下のようなコメントをしています。
2019年5月13日の日本自動車工業会でのトヨタ自動車、豊田章男社長の会見。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」
「今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」とも指摘しました。
日本のリーディングカンパニーであるトヨタの社長の意見だけに、今後日本の多くの会社に影響を及ぼすことでしょう。
転職をすると損をする?
ちなみに「転職をすると損をする!」という話しを聞く事があります。
たしかに転職によって会社が変わると、処遇・待遇条件などが変わってきますので、ひょっとしたら損をするケースもあることでしょう。
転職して損をするケースは以下のような事が考えられます。
2. サービス残業が増える
3. ほとんど昇給がしない
4. 退職金が出ない
特に気をつけたいのは「退職金が出ない」パターンです。
以前勤めていた会社では退職金制度があったので、当然新しい会社でも退職金が出るだろうと勘違いしてしまうケースです。
厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」によれば、約2割の企業において退職金制度が無いという事でした。
また「退職金」についても注意しましょう。
退職金は、勤続年数によって支払いが違ってきます。
たとえば同じ年齢で同じ役職の人でも、一方が転職組で勤続年数が少なければ、金額には差が生じます。
Dr.転職アドバイザー
転職はするべき?しないべき?
それでは「転職でキャリアアップ、それともダウン。長い会社員人生、転職はするべき?しないべき?」について考察したいと思います。
まずは今まで述べたポイントについてまとめてみます。
2. 終身雇用が終わる可能性
Dr.転職アドバイザー
それは「実力・需要のある人材」が生き残るという事です。
「実力・需要」があれば、いつでも好条件で転職出来ることでしょう。
しかしそうでない場合は、たとえ転職出来ても給与などの条件は厳しいものになるかもしれません。
つまり、社内だけでの仕事の評価を気にするのでなく、社外でどのような市場価値があるかを認識しておくべきなのです。
市場価値の確認方法
Dr.転職アドバイザー
転職サイトで求人募集をしている企業は、みなさんのプロフィールを見て興味があればスカウトメールを配信します。
その受信するスカウトメールの数によって、みなさんの「市場価値」が見えてくるはずです。
みなさんの経歴に併せて、いろいろな転職サイトがありますので、以下の特集を参照にしてください。
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おすすめの転職サイトはリクナビNEXT?ご利用者の評判をランキングで紹介します!
転職はするべき?しないべき?
転職はその人の実力やその時の外部環境により、キャリアアップも可能ですし、逆にキャリアダウンする事もあるでしょう。
転職はするべき、しないべきかについては、その時々のみなさんのイメージする今後のビジネスライフや、景況感などを加味しながらご判断するべきです。
しかし、ひとつだけご留意しておいてください。
Dr.転職アドバイザー
リーマンショックに景気が一気に悪くなった時、「会社都合」で転職をする人が増えたことです。
つまり、みなさんご本人が望まなかったとしても、会社都合で会社を辞めないといけない事があるかもしれないのです。
一番分かりやすいのは、みなさんがお勤めの会社が倒産するケースです。
やはり、いざこのような状況になったとしても、転職・再就職できる実力をつけておかないといけません。
そのためには、今のみなさんの市場価値をしっかりと認識しておくべきなのです。
誰もが「会社都合」での転職を余儀なくされる可能性があるのです。
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