【プロが教える】転職エージェントはデメリットを知ってから選ぶ。介護で転職の時こそ信頼できるエージェント

仕事さがし

本記事では、親族の介護をしながら働く会社員に向けて、そろそろ仕事と介護の両立が厳しくなってきた、または親の介護がきっかけで退職をしたという人に向けた、転職エージェントの活用術になります。

介護を抱えながら仕事を続けるのは、本当に精神的にも体力的にも大変ですよね。特に「転職エージェントは便利」という情報だけを鵜呑みにすると、介護と両立どころか、かえって深みにはまってしまうことがあります。

もちろん、介護をしていない人でも、転職エージェントのデメリットを知ったうえで転職活動をすることはとても重要なことです。まずは「転職エージェントに潜む本当のこと」を理解して、転職活動をするようにしてください。

くまさん(介護と転職アドバイザー)
くまさん(介護と転職アドバイザー)

私もこれまで多くの求職者と面談してきましたが、「転職エージェントの裏事情を知らないまま使って失敗した」「ようやく転職が決まったのに、実態が違いすぎて早期退職することになった」という声を何度も聞いてきました。

この記事のゴールは、「転職エージェントのデメリット」をしっかり理解したうえで、“介護中でも安心して使える”エージェントを見つける方法をお伝えすることです。また、介護をしていない人でも役立つコンテンツになっていますのでぜひ一読ください。(読了時間:10分)

【私のキャリア】本文に入る前に簡単に私のキャリアを紹介します。
わたしのキャリアは少しユニークで、「金融」「転職エージェント」「介護コンサルタント」と様々な業界を経験してきました。ちょっと変わってますよね(笑)。
私の勤務していた転職エージェントは大手で、みなさんもよく知っている会社名だと思います。ここではあくまで中立な立場で転職支援をしたいので、社名は伏せさせて頂いています。転職サポートについては、プロ中のプロと自負しておりますので、みなさんのお仕事に関する悩みを解決します。
またその後介護分野への興味が高まり、介護系ベンチャー企業に転職をしました。そこではおもに有料老人ホームの経営や人事コンサルタント業務を行ってきました。また介護に悩む人への相談窓口を立ち上げてサービスを提供していました。そのような経験から、要介護者やそのご家族の双方のお気持ちがよく理解しております。
この私の変わった経験が、まさしく「仕事と介護の両立」に悩む会社員のみなさんにお役に立てるものと思い、本ブログの執筆を開始しました。

  1. 転職エージェントのリアルなデメリット[特に注意すべき5項目]
    1. ビジネスモデルによる“急かし”プレッシャー
    2. 規模の違いによる求人件数の偏り
    3. キャリアアドバイザーの実力差が招く“ミスマッチ”
    4. 選択肢が狭まり失敗リスクが高まる
    5. 入社後フォロー不足で“早期退職”を招くリスク
  2. 介護転職で特に気をつけたい“落とし穴”を深掘り
    1. 介護の現状を正確に伝えにくい問題
    2. “複数エージェントを使いすぎるリスク
    3. “求人紹介ノルマ”重視でミスマッチ求人が増える実態
  3. デメリットを把握したうえで「信頼できるエージェントを見極める」チェックポイント
    1. 【チェック1】介護ニーズを深堀りする“質問力・ヒアリング力”があるか?
    2. 【チェック2】過去に介護中の転職サポート実績があるか?
    3. 【チェック3】求人票と現場のギャップを埋める“アフターフォロー力”があるか?
    4. 【チェック4】ビジネスマナーが徹底されているか?
    5. 【チェック5】大手・中小のどちらが自分に合うかを比較する
  4. Q&Aコーナー―くまさんが回答!介護転職でよくある疑問
    1. Q1. 「転職エージェントのノルマを回避するにはどうしたらいい?」
    2. Q2. 「中小エージェントでも介護者に理解のある会社はどう探す?」
    3. Q3. 「担当者の実力が不安…変更するときのコツは?」
  5. くまさんコラム―介護転職を成功に導いたママ美さん・パパ夫さんのその後ストーリー
    1. ママ美さんがつかんだ“理想の働き方”とは?
    2. パパ夫さんが経験した“失敗からの再スタート”ストーリー
    3. 介護×転職で大切にしたい“心構え”3つのポイント
  6. まとめ―デメリットを理解し、信頼できるエージェントとともに前へ進もう
    1. 本記事の要点整理

転職エージェントのリアルなデメリット[特に注意すべき5項目]

ビジネスモデルによる“急かし”プレッシャー

転職エージェントのビジネスモデルは、みなさんの転職が成功してはじめて求人企業から「転職者年収の30%」をフィーとして受け取る仕組みです。成功報酬型であるがゆえに、キャリアアドバイザーには売上目標である「月間●名の入社を獲得する」というノルマが課せられています。

くまさん(介護と転職アドバイザー)
くまさん(介護と転職アドバイザー)

介護中のあなたにとっては、「残業なし」「通院やデイサービスの時間を確保したい」という事情が優先するかもしれませんが、一方のキャリアアドバイザーは売上を優先していることがあるのです。

▶ ママ美さんの体験談
47歳のママ美さんは、都内のIT企業でマーケティング担当をしながら、実母(70代)の介護を続けていました。しかし最近では母親が週3回デイサービスを利用し始め、夕方5時には帰宅しますので時差出勤で対応するようになりました。しかし会社に親の介護についてあまり理解してもらっていないと感じ、情報収集もかねて転職エージェントの利用を始めました。ところが、登録した大手エージェントの担当アドバイザーはあまりこちらの意見を聞くことなく、一方的に求人案件を進めてきます。とにかく次から次へと求人を紹介するのです。「こちらの求人は時短勤務や時差出勤は可能なのですか?」「介護に対する企業姿勢はどうなんでしょう?」と聞いてみても、はっきりとした返事はありません。結果として、紹介された求人案件は、どれも納得が出来ずに転職活動が進むことはありませんでした。

くまさんからの一言:このように、ビジネスモデルゆえの”急かし”プレッシャーは介護者にとって大きな負担になります。「転職を急かされたくない」「自分のペースで進めたい」と思っても、ノルマを抱えたアドバイザーには通じにくいケースがあることを覚えておきましょう。

規模の違いによる求人件数の偏り

転職エージェント全体を俯瞰すると、以下のような構造になっています。

  • 大手転職エージェント:業界全体の数%程度。求人数は数千~数万件あり、全国各地の求人を幅広く保有。
  • 中小転職エージェント:業界全体の95%以上。社員数が数名~10数名ほどで、保有する求人件数は数十~数百件程度。

この規模差が、介護ニーズに合う求人を紹介できるかどうかに大きく影響します。たとえ大手でも「介護OK」「時短可」「在宅勤務可」の求人は全体の5~10%程度。中小になると、そもそも該当求人が数件しかないか、ほとんどないケースもありますのでご注意ください。

▶ パパ夫さんの体験談
52歳のパパ夫さんは、最近別居している要介護2の父親の調子が悪くなり在宅で介護するため、長年勤めた製造業を退職しました。会社を辞めるときは派遣やアルバイトでつなぐつもりでしたが、やはり正社員として復帰したいと考え地元の中小エージェントB社に登録しました。B社は社員3名ほどの小さな規模でしたが、「在宅勤務可能な求人、何かありませんか?」と相談したところ、紹介された求人案件は「週に1回だけ出社すればOKであとは自宅勤務」というパパ夫さんの希望に近い求人。「小さな転職エージェントも良いものだな」と思っていたパパ夫さん。しかしいざ面接を受けてみると、実態は「週2回は深夜シフトが発生する」というもので、事前に転職エージェントから聞いていた話しとまったく違った募集内容でした。結局選択肢は他に1件しかなく、そちらも条件と折り合わず、事実上「応募できる求人ゼロ」の状態に。最終的に別の大手エージェントC社に切り替え、リモートワーク率70%以上の求人を3件紹介してもらい転職活動を継続しています。

くまさんからの一言:このように、転職エージェントの規模が小さいと希望条件に合致する求人がそもそも少ないため、介護を抱える方、そして求人案件がそれほど多くないミドル世代は「複数の転職エージェントを同時に登録してみる」ことをおすすめします。またキャリアアドバイザーの応対についてもしっかりとチェックする必要があります。

キャリアアドバイザーの実力差が招く“ミスマッチ”

同じ会社でも、キャリアアドバイザーの実力は千差万別です。これはみなさんもご経験があると思われますが、社内の人材の実力は均一ではありませんよね。以下のような理由で、担当となるキャリアアドバイザーを見誤るとミスマッチが起こりやすくなります。

  • 業界・職種知識の乏しさ:たとえばサービス業出身のアドバイザーは、当然ながらITエンジニアや製造業の求人に詳しくない。じつはこのようなケースは多く、このようなキャリアアドバイザーの場合、書類添削が的外れで、面接対策もおざなりになるケースはありがちなパターンです。
  • 転職成功体験がないアドバイザー:そもそもキャリアアドバイザー自身が転職経験がゼロ、もしくは転職を繰り返し失敗してきたキャリアアドバイザー。じつはこういう人ってキャリアアドバイザーに多かったりするのです。つまり「成功体験に基づく説得力のあるアドバイス」ができないのです。
  • 経験不足の若手担当者:そもそもの社会人経験が不足しているため、ビジネスマナーもダメで、かつ上から目線で求人案件を紹介するようなキャリアアドバイザーもいます。アドバイザーとしてたくさんの求職者に頼られることで、勘違いする若手が多いのです。そして、このような人はそもそも信頼ができないのでパスした方がよいでしょう。
  • 担当変更よる放置リスク:最初に当たった担当が途中で変わり、そのまま連絡が途絶えるケースもあります。このような場合はすぐに別の担当者に変更依頼をするか、他の転職エージェントに登録することをおすすめします。
▶ ママ美さんの体験談
大手エージェントD社で最初に面談した担当は、前職が小売業の営業職であり、ITに関する知識はほとんどゼロでした。そのアドバイザーからは具体的な求人情報や面接対策は一切なし。求人案件を10社程度紹介されて、「このなかで気に入った案件はありますか?」と聞かれたのみ。これって転職サイトを使って、自分で転職活動するのと何が違うのかまったく理解できませんでした。

▶ パパ夫さんの体験談
最初に当たった担当はパパ夫さんのキャリアや希望をよく理解してくれるベテランのキャリアアドバイザー。「パパ夫さんのキャリアでしたら、C社でいけますよ」と言ってくれたものの、次の週に担当者が新人に変更。ところがその新人担当者はその後具体的な提案もなく「今情報収集中ですのでお待ちください」とだけ連絡し、2週間以上一切連絡なし。結果的にその後も連絡がなく、最初の求人案件への応募も断念せざるを得ませんでした。

アドバイザーの実力差は「知らないまま進めると必ず後悔する」要因になります。以下の6パターンは要注意です。

  • 転職を繰り返し、成功体験のない
  • 自身が未経験の異業種・異職種を担当している
  • 新入社員・若手で転職アドバイスの経験が少ない
  • 自分より年下で経験が足りない
  • 上から目線で話す
  • ビジネスマナーの基本ができておらず信頼できない

選択肢が狭まり失敗リスクが高まる

大手エージェントであっても、実際に「時短可」「在宅勤務可」と謳う求人は全体の約5~10%程度。その中でも、介護転職で“残業10時間以内”や“週3日在宅”など厳しい条件を付けると、件数は数十件、場合によっては数件にまで絞られてしまうことがあります。

実際にこれほど求人が減ってしまうと、そもそもミドル・シニア世代にとって転職市場では「希望条件に合う求人がほとんどない中で妥協案を探す」か、「そもそも応募すらできない」かの二択になってしまいます。

▶ パパ夫さんの体験談
大手B社で紹介してもらった求人案件は4件中3件が「出社必須・残業あり」というものでした。たとえキャリアアドバイザーとの面談で「在宅重視でお願いします」と伝えても、希望と実態が違いすぎて、結局すべて断念。数少ない応募先すら見つからないという現実に直面し、半年間の転職活動がほとんど空振りに終わってしまいました。このように、「求人件数が偏りすぎると、実質的に選択肢が極端に狭まる」というデメリットも心に留めておきましょう。

入社後フォロー不足で“早期退職”を招くリスク

内定をもらい入社できたとしても、「時短はOKと言われたが、実際には所属部署の雰囲気で断れない」「在宅勤務の割合を減らされ、結果的に介護が回らない」といった問題が起こるケースがあります。エージェント側のフォローが薄いと、せっかく入社した会社でも早期退職に追い込まれることがあるのです。

▶ ママ美さんの体験談
大手エージェントE社経由で「時短OK、在宅勤務70%」という条件で入社したものの、現場の直上司は「うちはみんな残業100時間超が当たり前」と言い残し、結局1ヶ月もたたずに退職。人事の担当者の話しと現場の管理職の話しに大きな乖離がありました。人事担当者は現場の管理職には意見が言えないような雰囲気でした。結果、介護スケジュールの調整が出来ず、半年後には再度転職活動を始める羽目になりました。

このように、「入社後のフォロー不足」が結果的に介護転職を失敗に導くリスクもあります。デメリットを理解したうえで「入社後もしっかりサポートしてくれるエージェント」を選ぶ目を持つことが大切です。

 

介護転職で特に気をつけたい“落とし穴”を深掘り

介護の現状を正確に伝えにくい問題

介護認定には「要支援1〜2」「要介護1〜5」がありますが、同じ「要介護2」でも、人によって必要なケア時間やサポート内容が大きく異なります。求人票に「介護制度あり」と書かれていても、実際にどこまで許容されるのかは企業によってバラバラ。そのミスマッチを避けるためにキャリアアドバイザーに「何をどこまで伝えればいいのか」がわからず、つい曖昧にしてしまう方がほとんどです。

▶ 具体対策

  • どこを抜粋するか
    実際に必要な介護サービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイ等)の利用頻度・時間を明確に伝えることで、担当者に「週○回、○時間は絶対に動けない時間帯がある」ということが明確になります。
  • 伝え方サンプル文
    ■抜粋例
    ・要介護2、訪問介護(週3回、各1.5時間)
    ・デイサービス利用(週2回、9:00〜15:00)
    ■面談時の伝え方
    「母は週2回デイサービスを利用しています(9:00〜15:00)。帰宅後の時間帯は業務から外れる必要がある点をご理解いただきたいです。」


    このように具体的に数字と時間を明記することで、担当者も企業側とスムーズに調整しやすくなります。

“複数エージェントを使いすぎるリスク

「希望の求人案件がない(少ない)」ということを不安に思い「求人件数を増やそう」と転職エージェントに3社、4社と登録するケースも多く見受けます。それぞれのエージェントから異なる面接日程の連絡が入ることで、ただでさえ仕事と介護の両立で多忙なのにスケジュール調整がうまくいかず、結局本命の求人案件の面接がキャンセルという事態になりかねません。介護中は時間の余裕がないため、情報が散乱するだけで大きなストレスになります。

▶ 対策例

  • 利用するエージェントは最大2社に絞る
    「複数登録した場合は、面談前に『母のディサービス時間は15:00〜18:00まで固定のため、その時間以外で日程を調整してほしい』と伝える。また、複数登録した場合でも、最終的に利用する転職エージェントは2社くらいまでに絞るようにするとよいでしょう。

これにより、情報やスケジュールが分散せず、介護スケジュールと面接スケジュールを同時に管理できるようになります。

“求人紹介ノルマ”重視でミスマッチ求人が増える実態

キャリアアドバイザーに設定される目標(ノルマ)には、「毎月○人応募」「月内○件面談」「○名内定」という数値目標が設定されていることがあります。「応募数を増やせば内定が出る確率が上がる」というロジックから、あなたの介護スケジュールや希望条件を無視して「とりあえず応募数だけ増やしましょう」と言われるケースがあるのです。

▶ パパ夫さんの体験談
最初に相談したA社では、「今月は応募10件を目指そう」と言われ、本来であればじっくり吟味すべき求人に「とりあえず書類だけ通しましょう」と言われ続けました。その結果、志望動機がおざなりになり、応募先からの不採用通知が連日届き、半年間ほとんど内定が出ずに精神的に疲弊してしまったのです。

対策としては、応募先を自分で厳選する勇気を持つことが重要です。ノルマ重視の転職エージェントは、介護者に合うかどうかよりも「応募数と内定数」を優先しがち。そのような場合は、「応募数ではなく、応募する企業の質を優先したいので、月3社程度に絞ってじっくり提案してほしい」と明言することをおすすめします。

 

デメリットを把握したうえで「信頼できるエージェントを見極める」チェックポイント

デメリットを理解したら、次は「どうすれば信頼できる転職エージェントを選べるのか」を具体的に解説します。以下の5つのチェックポイントを順番に確認し、介護転職において“失敗しない”エージェントを見極めましょう。

【チェック1】介護ニーズを深堀りする“質問力・ヒアリング力”があるか?

面談時に最低限、以下の3つの質問を投げかけてみてください。

  1. 「貴社経由で入社した介護中の方は、実際に週何時間まで在宅勤務できたのか?」
  2. 「過去1年で、要介護2以上の方が何名内定し、実際に何名が現在も勤務を継続しているのか?」
  3. 「紹介企業で、介護休暇・休業の申請実績がある会社名とその取得可能期間を教えてください。」

▶ 回答基準
◎ レベル:数字で具体的な実績を挙げてくれる(例:「A社では昨年、介護中の方が3名在宅70%勤務を実現し、現在も継続中です」)。
△ レベル:「一般的には在宅勤務可能ですが、詳細は企業によって異なるため確認が必要です」など、曖昧な回答。
× レベル:「その情報はございません」「担当者から改めてご連絡します」など、まったく具体性がない回答。

くまさんのアドバイス
「もし△や×の回答が返ってきた場合、『要望に合う求人が少ないのか?』『対応が雑なのか?』を見極めるサインにしてください。特に介護転職では、“数字で示せる実績”が重要です。」

【チェック2】過去に介護中の転職サポート実績があるか?

転職エージェント公式サイトや口コミだけでなく、SNSや介護コミュニティで「〇〇社で介護中に転職成功した人が何人いるか」「実際に何名が継続勤務しているか」を確認してみましょう。実績を把握することで、あなたの介護条件とマッチングできる確率が分かります。

  • 公式サイト確認ポイント
    「介護者向け転職サポート実績:○○名」と記載されているか。「介護休暇取得実績」「時短勤務実績」の具体的数字があるか。
  • SNSコミュニティ活用方法
    Facebookグループ「40代介護×転職サポート」や、Xで「#介護転職サポート」のタグを検索し、実際に使った人の声をチェック。「〇〇社で転職成功したけど、○○年経ってもフォローがあるか?」など、リアルな口コミを集める。

【チェック3】求人票と現場のギャップを埋める“アフターフォロー力”があるか?

内定獲得後のサポート体制も重要です。「入社前の配属先訪問」「入社後の定期フォロー面談」「時短・在宅勤務交渉代行」といった形で、企業側と交渉してくれるかどうかを確認しましょう。以下の項目をチェックしてみてください。

  1. 入社前の配属先訪問
    「実際に部署を見学できるか」「上司や先輩との顔合わせをしてもらえるか」を確認する。
  2. 入社後の定期フォロー面談
    「入社後1〜3ヵ月以内に必ずフォロー面談を実施しているか」「介護との両立できているかをヒアリングしてくれるか」
  3. 時短・在宅勤務交渉代行
    「企業側に時短や在宅勤務の具体的な運用実績を問い合わせてくれるか」「必要なら交渉まで行ってくれるか」

▶ 信頼できる返答例
「入社前に配属先リーダーとの顔合わせをセッティングしています」
「入社後1ヵ月と3ヵ月のタイミングで、介護との両立状況をヒアリングし、必要であれば企業へ再交渉します」

このように入社後フォローが明確に約束されているかどうかを確認し、曖昧な回答で終わるようであれば別の転職エージェントを検討するのがおすすめです。

【チェック4】ビジネスマナーが徹底されているか?

担当者がどれだけ「介護者としての事情を尊重してくれるか」は、まずDay1のやり取りから見えてきます。以下のポイントを観察してみましょう。

  1. 対応速度
    面談依頼や問い合わせメールへの返信が24時間以内かどうか。
  2. 敬語と丁寧さ
    「〜様」と相手を敬い、「いつもお世話になっております」といった表現が適切に使われているか。
  3. 介護事情への配慮
    たとえば「保育園のお迎えがある方は、面談を17時までに終わらせるよう調整します」というように、求職者のそれぞれの事情を具体的にヒアリングしてくれるか。

▶ NG例
返信が数日後になる。
「メールだけで済ませますので、よろしくお願いします」といった形式的な一文のみで、介護事情への配慮が一切感じられない。

▶ 信頼できるサイン
初回連絡の一文目から「介護中とのことですが、お母様の送迎時間などございますか?」と気遣いを示してくれる。
面談日時の候補を出す際に「母のデイサービス時間帯をお教えいただけますか?」と事前に聞いてくれる。

このようにビジネスマナーと同時に、みなさんの介護事情への配慮が見えるかどうかも重要な見極めポイントです。

【チェック5】大手・中小のどちらが自分に合うかを比較する

「大手転職エージェント」「中小転職エージェント」のどちらを選ぶかは、あなたの介護スケジュールや希望条件によって異なります。以下の比較表を参考に、自分に合う方針を決めましょう。

項目 大手エージェント 中小エージェント
求人数 数千~数万件 数十~数百件
介護OK求人数 全体の5~10%程度 ほぼ0~5%(地域特化型は数件ある場合も)
担当者経験年数 平均5年以上 平均3年以下(専門性重視なら例外あり)
入社後フォロー頻度 定期面談あり(1〜3ヵ月以内など)
ただし会社による
実績少ない場合は要確認(人員不足の可能性)
担当エリア 全国対応 地域密着/地方の介護福祉系求人に強い
  • 大手を選ぶ理由
    求人数が圧倒的に多く、「在宅」「時短」「残業少なめ」といった求人も一定数は確保。業界や職種に特化した専門チームがある。
  • 中小を選ぶ理由
    地域に特化した求人を多く保有し、みなさんの希望に沿う場合がある。キャリアアドバイザーと社長や上席の距離が長年の付き合いで近いことがあり、そのため特定の企業の理解の深さと交渉がスピーディーなことがある。ただし求人数自体が少ないため、選択肢は限定される可能性がある。

 

あなたに合うのはどちらか?

  • 大都市近郊にお住まい:求人数が多い大手エージェントを優先。
  • 地方にお住まい:中小エージェントの地域密着型が強みになる場合がある。大手への登録も推奨。

マッチするエージェント1社に絞ると転職成功率が高まります。

 

Q&Aコーナー―くまさんが回答!介護転職でよくある疑問

 

Q1. 「転職エージェントのノルマを回避するにはどうしたらいい?」

回答
エージェント側には「月○名面談」「○名書類通過」「○名内定」というノルマがあります。これを回避するには、面談開始時に「介護プラン共有シート」を提出し、「月内面談は●回まで」「応募数は2件まで」に制限してほしいと明言しましょう。そうすることで、担当者も無理に応募を急がせづらくなります。

くまさんのアドバイス
「もし『何としても内定を』と急かしてくる担当なら、『介護と両立できなければ意味がないので、最優先で面接日程を調整していただくか、必要であれば担当変更をお願いします』とハッキリ伝えましょう。介護が理由で時間がないと正直に話すと、エージェントも対応を変えざるを得ません。」

Q2. 「中小エージェントでも介護者に理解のある会社はどう探す?」

回答
中小エージェントのなかにも優良求人案件を保有しているケースは多々あります。探し方のポイントは次のとおりです。

  1. 公式サイトの実績をチェック
    「介護をしている転職支援実績:○名」など、数字で示されているかを確認。
  2. SNSや口コミサイトで「#介護転職サポート」で検索
    TwitterやXで「#介護転職サポート」を使い、実際に利用した人の声を集める。口コミサイトや介護コミュニティ掲示板で「◯◯社のアドバイザーが親切だった」「過去に介護者○名を内定させた実績がある」という書き込みを探す。
くまさんのアドバイス
「公式サイトに載っている実績数字だけを見るのではなく、『実際にフォローしてもらった人がどう感じたか』という生の声をチェックすることが重要です。介護コミュニティで信頼できる先輩のレビューを参考にしましょう。」

Q3. 「担当者の実力が不安…変更するときのコツは?」

回答
担当者の実力不足やマナーの不備が気になる場合は、すぐに担当変更を申し出ることをおすすめします。その際のコツは以下のとおりです。

  1. 理由を簡潔に伝える
    「母の介護スケジュールが非常にタイトで、御社のサポートを受けたいのですが、もう少し介護事情に詳しい方に相談したいです」と、介護を軸に理由付けをする。
  2. メール文例

    お世話になっております。
    このたびは転職サポートのご担当をいただき、ありがとうございます。
    私の介護スケジュールが非常にタイトで、もう少し介護事情に理解のある方にご相談したいと考えております。
    大変申し訳ありませんが、担当者の変更をお願いできますでしょうか。
    ご対応いただけると幸いです。
  3. その後の流れ

    変更が承認されたら、新しいアドバイザーに先ほどのシートと質問テンプレートをすぐに提出し、スムーズに面談を再開する。
くまさんのアドバイス
「会社側も“介護者が時間的に厳しい”という事情を理解すれば、担当変更には前向きに応じるケースがほとんどです。遠慮せずに、まずは担当変更を申し出てくださいね。」

 

くまさんコラム―介護転職を成功に導いたママ美さん・パパ夫さんのその後ストーリー

ママ美さんがつかんだ“理想の働き方”とは?

ママ美さんは、最初の失敗を経て「介護の現状が分かるシート」を面談前に必ず提出するようにしました。ある日、担当アドバイザーEさんに資料を渡したところ、Eさんは「これは助かります」と即座に反応し、企業側ともすぐに調整を始めてくれたのです。

たとえば、「在宅50%・残業月5時間以内」という求人を探してもらい、最終的には「オンライン会議中心で、デイサービス送迎の時間帯は出社不要」という条件で内定を獲得しました。現在は、本社勤務の日は週2日だけ、あとは自宅で働くスタイルを実現。母親のデイサービス送迎も無理なく続けられ、「転職エージェントに時間と情報を正確に伝えること」が、思いのほか大きな武器になったそうです。

学んだこと

  • 「情報は数字で可視化する」ことで、担当者も企業も動きやすくなる。
  • 「介護プラン共有シート」を使うと、採用側も“本気度”を感じてくれる。
  • 「介護者でも働ける具体的条件」が最初から明確だからこそ、ミスマッチが起きなかった。

パパ夫さんが経験した“失敗からの再スタート”ストーリー

パパ夫さんは一度、中小エージェントB社で失敗したあと、大手エージェントC社に登録し直しました。C社では最初の面談で「介護プラン共有シート」を提出し、あわせて「質問テンプレート」を使って6つの質問をぶつけたそうです。その結果、

  • 「介護中の社員が在宅50%勤務を実現している企業名と人数」
  • 「入社後の時短勤務申請が通った事例数」
  • 「要介護2でも入社可能な職種と現場の声」

などを具体的に教えてもらい、「これは間違いない」と確信できたとのこと。そして最終的に、介護休暇制度が整った中小企業F社から内定を獲得。現在は父親のリハビリ送迎に付き添いつつ、週3日在宅+出社2日(残業ゼロ)という働き方を実現し、年収もアップしました。

学んだこと

  • 「質問テンプレート」で回答の質を見極めることができた。
  • 「大手の情報量」と「中小の交渉スピード」をうまく組み合わせることで、ミスマッチを防げた。
  • 「失敗した経験」があったからこそ、次に何をすべきかが明確になった。

介護×転職で大切にしたい“心構え”3つのポイント

  1. “自分の介護スケジュールを数字で可視化する”
    介護認定書やシートを使って、具体的に何曜日の何時に動けないかを明示しましょう。これがあるだけで、候補求人が数倍見つかりやすくなります。
  2. “アドバイザーの言葉だけでなく、求人票・現場情報を徹底確認する”
    「求人票に介護OKと書かれていても要注意」。必ず「実際には何時間在宅したのか」「残業時間は実際にどれくらいか」など、数字や事例を確認してください。
  3. “ミスマッチを早期に認識したら速やかに軌道修正する”
    面談時に「ちょっと違うかも」と思ったら、その場で伝えるか、担当を変えてもらう。介護者は時間がないので「もやもやを放置しない」ことが成功のコツです。

 

まとめ―デメリットを理解し、信頼できるエージェントとともに前へ進もう

本記事の要点整理

    1. 転職エージェントのデメリット(介護転職で特に注意すべき5項目)
      ・ビジネスモデルゆえの急かしプレッシャー
      ・エージェント規模による求人件数の偏り
      ・キャリアアドバイザー実力差によるミスマッチ
      ・求人件数が偏ることで選択肢が狭まる問題
      ・入社後フォロー不足で早期退職に追い込まれるリスク
    2. 複数エージェント利用のリスク、求人紹介ノルマによる問題点など、さらに深掘りすべき落とし穴
  1. 「信頼できるエージェントを見極める5つのチェックポイント」
    ・質問力・ヒアリング力があるか
    ・過去の介護者サポート実績があるか
    ・求人票と現場のギャップを埋めるフォロー体制があるか
    ・担当者のビジネスマナーは適切か
    ・大手・中小どちらが自分に合うかを見極める

 

くまさん(介護と転職アドバイザー)
くまさん(介護と転職アドバイザー)

介護を抱えながら転職活動をするのは、想像以上にハードルが高いものです。しかし、「デメリットを知らずに使う」「担当者やエージェントの選び方が甘い」という小さな失敗を防ぐだけで、転職成功率は大きく変わります。この記事で紹介したノウハウをフル活用し、「介護プラン共有シート」や「質問テンプレート」「比較表」を駆使して、信頼できるエージェントと二人三脚で進めてくださいね。

応援しています、くまさんでした。

 

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