50代の転職・起業。”70歳まで就業の時代”に向けての現実について検証してみる。

「今まで頑張って来たのに、50代で転職?それって止めておいた方が良いのでは?」

 

50代の人が”転職をする!”と聞いた時、30代や40代の方はこのように思われることでしょう。

 

「せっかくその会社で何10年も頑張って来たのに、なんで50代で転職しないといけないの?」

 

転職活動を始めようとする50代、彼らは何も好んで転職活動を始める訳では無いのです。

 

いわば”今の会社に居られなくなって、または居づらくなって”転職活動を始めるのです。

 

転職すれば不慣れな環境に悪戦苦闘するかもしれませんし、待遇面も悪くなる可能性があるでしょう。

 

それでも転職をしないとならない50代のリアルについて紹介します。

 

今回の特集について
50代で転職をしなければならない会社員のみなさん、かなりツライはずです。今回の特集では50代の厳しい現実を紹介するものの、それでも50代のみなさんの明るい将来について考えてみたく思います。頑張れ、50代・60代!

 

50代の現実

Dr.キャリアアドバイザー

今回は私の尊敬する上司についての話しになります。その上司は会社では出世頭の一人でした。いろいろな知識があり、知らないことは無いのでは、と思えるほど頼りになる上司だったのです。

 

それでは私の尊敬する前職の上司であるAさんの話しになります。

いや、まいった。本当にまいったよ。気が付けばもう半年少しで役職定年だよ。給料も半額くらいになるし、本当にまいった。

Aさん(48歳)

このように話し始めたAさんですが、いろいろと話しを聞くと以下のような事で今後どうしたら良いのかまったく分からないという事なのです。

 

 

70歳まで働く時代が到来

 

50代の転職。

 

50代からの転職は20代や30代の転職と比べて、「求人案件数」や「待遇面等の諸条件」が著しく悪化します。

 

そうすると50代での転職はかなり難しくなります。

 

一方、2021年4月に高年齢者雇用安定法の改正により、「2021年4月より企業は従業員が70歳まで働けるような措置をとる努力義務を負う」事となったのです。

 

つまり「私たちが将来70歳まで働く可能性が大きくなった!」という事なのです。

 

Dr.キャリアアドバイザー

70歳まで働く。2021年は会社員の今後の働き方や生活への価値観が大きく変化するキッカケになるかもしれません。

 

今この記事を見て頂いている方が50代とします。

 

そのような方が、「70代まで働く、または働かないといけない。」、「しかし今の会社でこれ以上働き続けるのは難しい」といった時にどのような対応をしたら良いのでしょうか。

 

この2021年とは、後年に振り替えると「働き方改革2.0(元年)」となる一大転機になることでしょう。

 

この転機に、50代のこれからの生き方について考えて行きましょう。

 

Dr.キャリアアドバイザー

がんばれ、50代!50代の人にとっては「将来不安」が大きいと思います。しかしここでひと踏ん張りして、一緒に明るい未来を目指しましょう!

 

「70歳まで働く!?」。そうすると、ボクの場合はあと何10年働けばよいのですか?こんな話しを聞くと一気に気が遠くなってきます。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

そうですよね。A君の世代にしてみると、70歳なんて想像出来ないでしょうね。ちなみに政府は「70歳まで就労機会」を広げるといった趣旨で発言していますが、これは単に年金の財源不足・労働力不足が理由なのです。

ハッキリ言って、本当に政治家には腹が立ちます。なんでこうも今までの政治家が無策で無能だったのでしょうか。政治が信用出来ないので、いつまでも将来が不安ですしお金を使うのが不安になります。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

A君の言う通りです。日本の政治家には中長期で国を良くするビジョンなどは「1ミリ」も有りません。日本国民は本当に不幸ですし、無能な政治家が日本をダメにし続けています。しかし残念ながら、この無能で無責任な人たちを我々国民が選んでしまっているので、私たちにも責任の一端はあると言えます。

「70歳まで就労機会」と言うとちょっと聞こえが良いのかもしれませんが、これって「70歳まで働かないと生活出来ませんよ」と言ってるのと同じですよね。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

今回の高年齢者雇用安定法の改正については、しっかりと政治家が改正の説明をマスコミを通して行うべきだったと思います。マスコミも一部の新聞は特集をしていましたが、本来一面トップの記事にも関わらずどの新聞社も取扱いが小さくとても残念でした。私自身もライフプランを見直すつもりです。しかしだまだこの先、更なる改正もあり得ますので、本当に日本の政治家にはもうウンザリです。

 

A君は今回の法改正に対して政治家に今まで以上に不信感を感じているようですね。

 

そしてオドロキなのは、いつも冷静なDr.キャリアアドバイザーの「しょうさん」までもが怒りを爆発させていることです。

 

そのくらい今回の「高年齢者雇用安定法」の改正はインパクトがある出来事なのでしょう。

 

そこでもう一度、「高年齢者雇用安定法」について説明をしておきましょう。

 

高年齢者雇用安定法とは

 

高年齢者雇用安定法って70歳まで働けるという事ですよね?制度が良く分かっていないのでここで勉強させてください。

Bさん

たしかウチの会社は65歳まで働けたと思います。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

高年齢者雇用安定法は何回か改定をされていて、今ではA君の会社のように「希望すれば誰もが65歳まで再雇用される」となっています。それでは簡単に今までの経緯も紹介しましょう。

 

高年齢者雇用安定法とは
この高年齢者雇用安定法とは、すべての高年齢者が年金を受け取ることが出来る年齢まで、本人の希望・やる気・スキルに応じて働き続けられるような社会を整備する事を目的としています。

 

高年齢者雇用安定法の流れ

STEP.1
1971年
中高年を対象とした雇用促進についての特別措置法を制定。
STEP.2
1986年
高年齢者雇用安定法の名称を変更。60歳以上の定年を努力義務に。
STEP.3
1988年
60歳以上の定年を義務化。
STEP.4
2000年
65歳までの雇用確保を努力義務化。
STEP.5
2006年
65歳までの雇用確保を義務化。(対象者設定可) 
STEP.6
2013年
希望者全員の65歳までの雇用を義務化。
STEP.7
2021年
70歳までの雇用確保を努力義務化。  

Dr.キャリアアドバイザー

上記にあるような高年齢者雇用安定法の推移を見る限り、今後は間違いなく「70歳までの雇用を義務化」する方向でしょう。つまり、70歳まで働く事を前提に年金の受給タイミングなども引き上げられて行くのです。下の年金支給開始年齢の推移のグラフをご確認ください。

 

参照サイト:厚生労働省公式サイト

 

Dr.キャリアアドバイザー

上図より、詳細は分からなくても年金の支給開始年齢が上がっているのがお分かりになりますよね。

法律とか制度の事はよく分かりませんが、結局のところ年金の受給年齢が上がったせいで、仕方なく高年齢者雇用安定法が改正されてるだけの話しですよね。

Bさん

だから本当に言いたいです。政治家は何の策も無いのですか。どうして解決策を提案しないのですか?課題に対してまったくの放置、これって普通の会社だったら許されない事ですよね。完全にアウトです。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

A君もBさんも鋭い意見ですね。おっしゃる通りにまったく馬鹿げた話しです。「制度の改正」とか、「70歳までの雇用機会を増やす」とかそれらしい事を言っているつもりなのかもしれませんが、まったくの無策でお手上げ状態のようですね。本当に政治家というのは、厚顔無恥な人たちの集まりと言えます。

 

2021年からの私たちの働き方

 

高年齢者雇用安定法の改正については、なんとなく分かりました。シンプルに言うと「70歳まで働いてくださいね。」という政府からのメッセージですよね。

A君(20代会社員)

たしかに私の親もそうですが、65歳以上になっても働きたいという人が多くいる事も分かっています。ただしそれも人それぞれ考え方は違いますよね。私は今はなるべく早くリタイアしたいと思いますが。

Bさん

そうなんです。いろいろな考えの人がいるにも関わらず、この流れは明らかに「70歳まで働いてください。」ですし、もし途中で体を壊して働けなくなっても補償も十分ではないので、まさしく悲惨です。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

私が一番心配なのは、若いうちは気にならないでしょうが、「70歳まで病気やケガをしないで働き続けることが出来るのか?」という点です。

 

政府は一方的に「年金受給の開始年齢を引き上げ」や「高年齢者雇用安定法の改定」を一方的にアナウンスする暴挙を行っています。

 

しかしどんなに文句を言おうとも、この流れは変えられません。

 

年金の受給開始年齢が上がる背景には、歯止めの利かない「少子高齢化」があります。

 

日本の将来人口推計のついて

このグラフを見ると、将来ボク達の世代が年金を貰えなくなるのは確実ですよね。お年寄りの政治家に対して、怒りを通り越して涙が出てきました。

A君(20代会社員)

Dr.キャリアアドバイザー

ちなみに定年後研究所によりますと、70歳定年に対する意見は以下のようになっています。こちらは2019年に「40代・50代男女、定年制度のある企業に勤務する60代前半男女、合計516人」に対してアンケートを行ったそうです。

 

70歳定年に対する意見

歓迎する 42.6%
とまどい・困惑を感じる 38.2%
歓迎できない 19.2%

 

Dr.キャリアアドバイザー

歓迎する割合は42.6%と半分に及ばすといった感じです。半数以上の人は「とまどい」や「歓迎できない」と感じているようです。賛成派と反対派それぞれの理由が気になります。それでは続いて「男女別」「年代別」での結果を見てみましょう。

 

年代別の調査結果(男性)

年代 歓迎する 歓迎できない
40代 34.0% 31.1%
50代 39.8% 27.2%
60代前半 48.1% 15.4%

 

年代別の調査結果(女性)

年代 歓迎する 歓迎できない
40代 48.5% 6.8%
50代 42.7% 17.5%
60代前半 48.1% 11.5%

 

Dr.キャリアアドバイザー

男女別での結果を見てみますと、女性の方が70歳定年に対して賛成の意見が多いようですね。

 

ちなみに70歳定年を「歓迎する」と回答した人は、「収入期間が延びるから」が約8割とダントツの1位でした。

 

これは「老後の生活資金に対する不安」を表しているので、結局は積極的に「歓迎する」とは言えない、むしろ消極的な結果となっていました。

 

また「とまどい・困惑を感じる」「歓迎できない」と回答した人の理由は以下の通りでした。

 

とまどい・困惑を感じる

収入期間が延びるのは良いが、その分長く仕事をしなければならないから 65.5%
好きな仕事ができるわけではない 34.0%
ゆっくりとした(自由時間)が過ごせなくなる 31.5%

 

歓迎できない

60歳(65歳)以降は働きたくないから 65.7%
一生働くことになりそうだから 38.4%
のんびり暮らしたい 36.4%

参照サイト:定年後研究所公式サイト

 

Dr.キャリアアドバイザー

現役の60代前半の方々の意見はとても共感出来ます。70歳まで働く、それでもまだまだ不安が残る年金問題。「いったいいつまで働き続ければいいのだろう!?」と思うことでしょう。

 

これからの働き方
私たちが直面する現実は「70歳まで働く」という事。そしてこのような就業環境では、今まで以上に「個のスキル」と「健康」が重要なポイントとなる事でしょう。

 

おすすめの特集記事

ミドル世代からの働き方とワークライフバランスについて

 

パソナ、50歳からの転職・起業の支援

 

70歳まで働く。

 

この事をリアルにイメージするのは、おそらく50代~60代の人ではないでしょうか。

 

そしてこの高年齢者雇用安定法の改定に合わせて、人材サービス大手のパソナグループで新サービスを開始します。

 

新サービスの概要は、「大手企業で働く50歳以上の現役社員に対し、転職支援や起業支援のカウンセリング」になります。

 

パソナグループは「今後大手企業が65歳以上の社員全てを雇用し続ける事は難しい」「一方で大手企業はリストラでの退職勧告は避けたい」と考え、本サービスを始めるようです。

 

ちなみに大手企業で培った経験は、本人が考える以上に貴重なケースが多々あり、特に中小企業では大企業での経験や人脈に対するニーズが強い傾向にあります。

 

Dr.キャリアアドバイザー

40代以上の大手企業の会社員が独立して、「顧問」として働くケースが多いのは、このような中小企業のニーズが根強いからなのです。

 

おすすめの特集記事

顧問として働く。50代、ミドルシニアの転職には顧問紹介を利用しましょう。

「セーフプレースメント・トータルサービス」とは

 

Dr.キャリアアドバイザー

パソナが大手企業に提案するサービスを「セーフプレースメント・トータルサービス」と言います。本サービスについては、まずは大手企業のみが対象になるようです。今まで50歳以上のキャリア支援があまり積極的に行われていませんでしたので、このサービスをキッカケにミドル層へのキャリア支援が広がれば、今以上に日本が元気になることでしょう。

 

セーフプレースメント・トータルサービスの概要

①ライフキャリアプラン研修

50代以上の多様な生き方やキャリアについて学びます。

②専門コンサルタントとのキャリアカウンセリング

専門コンサルタントとの面談で今までのキャリアを振り返り、今後のキャリアについて考えます。

③起業・副業・兼業のコンサルティング

起業や副業等に向け、プロの経営コンサルタントに相談が出来ます。

④起業家体験ツアー・企業体験研修

実際に起業をした人たちとの交流や現場見学を行います。

⑤ミドルシニア交流サロン

人生設計やキャリアに関心を持つミドルシニアが集う交流の場。

 

まとめ 70歳までのキャリア形成に不可欠なもの

 

いかがでしたでしょうか。

 

「高年齢者雇用安定法の改正」「年金受給の開始年齢の引き上げ」、それに伴う「パソナの新サービス」。

 

これらの事を整理して考えると、「70歳まで働く」事はすでに既成事実となる事でしょう。

 

私たちが今後も「お荷物ではなく」「戦力であり続ける」ためには、おそらく次の3つがキーワードになることでしょう。

 

それは「経験」「知力」「体力」が最大のスキルになるはずです。